【バラ科の常緑高木、別名「ビランジュ」は誤認によるものとか】
高さが15mにもなるバラ科サクラ属の常緑高木。本州の房総半島以西と四国、九州、沖縄、台湾の海に近い暖地に自生する。葉は長さ10~20cmの長楕円形。サクラの葉の形とは異なるが、葉柄の上部に2つの蜜腺があることがサクラの仲間であることを示しているという。葉からは咳止めや鎮痛剤に使われる薬用の杏仁水が取れ、材木は家具や器具材、薪炭に利用される。
花期は9~10月頃で、短い総状花序に小さな5弁の白花を密に付ける。樹皮はもともと灰褐色だが、次々に鱗片状に剥がれて木肌が現れ紅黄色のまだら模様になる。和名の「バクチノキ」はその様子を、人がバクチに負けて身ぐるみ剥がされることになぞらえたといわれる。方言で「はだかのき」と呼ぶ地域も多い。葉の裏に細い毛があるものは「ウラゲバクチノキ」と呼ばれる。
バクチノキには「ビラン」「ビランジュ」という呼び名もある。ただし、それらはこの樹木をインドの毘蘭樹(批蘭樹)と誤認したことによるものという。近縁に樹高が3~6mとバクチノキより低く公園などに植えられる「セイヨウ(西洋)バクチノキ」がある。こちらの原産地はその名の通りヨーロッパ南東部~アジア西部地域。花の総状花序は長さが10cmほどになりバクチノキより大きく、花期も4月頃と異なっている。