【中国原産、別名「チョウジザクラ」、縁起を担いで「長寿桜」とも】
ジンチョウゲ科ジンチョウゲ属。中国原産の落葉低木で、日本に渡来したのは江戸時代の初期といわれる。花期は4~5月。花径1cmほどの淡紫色の筒状花を無数に付ける。植物名はフジに似たその花色から。花弁のように見えるのは萼片(がくへん)で、先が4つに裂けて4弁花のように見える。樹高は1~1.5mほどになり、庭園や公園に植栽されるほか、盆栽としても人気を集めている。
江戸初期の本草学者、貝原益軒(1630~1714)が著した『花譜』(1694年)には「芫花 しけいじゅ」として「藤の花の色に似たり。花ひらく時葉なし。花をちて後葉生ず……紫荊樹といふ」と紹介されている。「芫花(げんか)」は漢名。花や根はアコニチン、ゲンカニンなどの毒成分を含むが、漢方では粉末にした花の蕾が利尿・去痰薬として使われる。芫花は東大寺・正倉院に伝わる『種々薬帳』にも香薬60種の1つとして記されており、奈良時代には既に薬用として中国から伝わっていたことを示す。
江戸中期の小野蘭山(1729~1810)の著書『本草綱目啓蒙』(1806年)には「フヂモドキ 丁子ザクラ河州 サツマフヂ江戸及仙台 ゲンジサウ丹州」などと記述されている。河州は河内の国、丹州は丹波・丹後。当時から各地で様々な名称で呼ばれていたことが分かる。今でも正式和名のフジモドキより「チョウジザクラ」の別名の方が広く浸透している。これは花の形をスパイスの丁子に見立てた呼び名。ただバラ科サクラ属に同名の植物があるから紛らわしい。フジモドキは縁起を担いで「丁子桜」転じ「長寿桜」の名前でも流通している。