【和名は「モクシュンギク」、香川県三豊市・静岡県南伊豆町の花】
キク科の半耐寒性多年草。原産地はアフリカ北西部のモロッコ沖に浮ぶスペイン領カナリア諸島。17世紀末にヨーロッパに伝わり、主にフランスで品種改良が進められた。このため「パリ・デージー」とも呼ばれる。マーガレットといえば欧米で女性の名前に多いが、語源はギリシャ語で真珠を意味する〝マルガリーテ〟に由来する。花の清楚な美しさからの命名で、春の鉢花や切り花として人気が高い。
日本には明治時代の終わり頃に渡来した。和名は「モクシュンギク(木春菊)」。株が古くなると下部の茎が木質化し、深い切れ込みが入った葉の形が春菊に似ていることによる。ただ、この名前で呼ばれることはほとんどない。花期は3~7月。一重咲きの白花が一般的で、古くから「好き、嫌い、好き、嫌い……」と花占い(恋占い)に使われてきた。最近は近縁種との交配などで黄や赤、ピンク、オレンジなど色も豊富になり、花の形も八重咲き、ポンポン咲き、半球状の丁子(ちょうじ)咲きなど多彩になってきた。
国内の主な産地は暖かい香川県や静岡県などで、香川県三豊市では「市の花」、静岡県南伊豆町では「町の花」に制定されている。マーガレットは見頃を過ぎても花弁が落ちないという特徴を持つ。そこに着目した両県の栽培農家は受験生を応援する〝落ちない花〟として、数年前から中学3年生にマーガレットの花束を贈る運動を展開している。「マーガレットの花束抱き笑む幸せ」(伊藤敬子)