消費電力9割減、一石二鳥の地下工場
地中熱は年間を通して16~18度
福島原発問題で、全国的な電力不足が懸念される今年の夏。自動車業界が木金に休業日を変更するなど、各企業が電力消費削減に知恵を絞るなか、工場が丸ごと地下にある「地下工場」が注目を集めている。
電力を9割削減したのは工作機械大手、「ヤマザキマザック」(愛知県大口町)の岐阜県美濃加茂市内にあるレーザー加工機の組立工場。地上に工場設備はなく、延べ約1万㎡の工場すべてが地下11メートルに設置されているという。すべてが地下に潜っている工場は世界でもほとんど例がないという。
もちろん、エアコン要らず、地中の熱を室内の温度調節に活用しただけでOKという。一般的に地中の温度は1年中ほぼ一定で、同工場の立地地点の地中熱は年間を通して16~18度、これをうまく利用したものだ。
その仕組みは、地下工場の周囲に風洞を張り巡らせ、夏は風洞内に地上の吸気口から吸い込んだ熱い外気を地中で循環させることで、地中の熱によって冷却し工場内に供給する。冬はその逆で、地中熱で暖めた空気を工場内に送り込むことで地中熱が天然のエアコンの役目を果たすものだ。
美濃加茂市の気温は夏場には38度、冬場には氷点下になるが、工場内は夏場は28度以下、冬場は18度以上と一定。電力使用も、CO2排出量も9割削減したとのこと。
地下工場は、密閉した地下施設にすることでホコリやチリの少ないクリーンな環境にすることが目的で、室温調節は2次的な取り組みだったが、クリーンに加え、気温が一定という地下の「威力」が発揮され、一石二鳥の効果が出てきたものだ。
他にも、川崎市の精密測定機器の国内最大手、ミツトヨも宇都宮市内の工場で一部に地下施設を設け、測定機器の心臓部となる部品を製造しているという。
当協会の会員企業が、鹿児島で地中熱システムの普及に取り組んでいるが、今後の普及の参考事例として注目される。
かごしま暮らしネット hpp//www.kagoshima-kurashinet/
かごしま企業家交流協会 hpp//www.kagoshima-kigyouka.com/