又、製造業もピークの3分の2に落ち込んでいる。
製造業が農林業を抜いたのは64年だそうだ。以来、約30年間、産業別で製造業は国内最大の雇用の受け皿だった。繊維・衣服などの軽工業から鉄鋼や電気機械、自動車など重厚長大の輸出型産業に重心は移ったが、2度の石油危機を乗り越え、製造業は日本の成長を支えてきた。製造業の就業者数のピークは92年の1569万人。その後はバブル崩壊に伴う内需の落ち込みに加え、円高で企業が生産拠点を海外に移したため、雇用は減少に転じる。09年にはピークの3分の2程度にまで減少しているという。
製造業とともに雇用に貢献したのが建設業。高度経済成長の中で成長して増大してきた。バブル崩壊で製造業の雇用が落ち込むなか、政府は公共工事の拡大で景気や雇用を下支えした。公共工事費のピークは95年度の35兆円。92~99年度まで毎年30兆円超の税金が投入された。
労働力は製造業や農林業から建設業に移り、97年には全体の1割を占める685万人が建設業で働いていた。しかし、01年ごろから財政難で公共工事の維持が困難になり、09年度には約17兆円にまで減少。建設業の就業者数もピーク時から2割以上減っている。
第1次、第2次産業の雇用が減る中で、国内雇用を支えているのが卸売・小売業、サービス業などの第3次産業だという。96年には卸売・小売業、飲食店の就業者数が1463万人になり、製造業(1445万人)を抜いた。
第3次産業のウエートは今後、ますます高まりそうだ。独立行政法人の労働政策研究・研修機構は20年、医療・福祉の就業者が09年比4割増の851万人に増えると予想しているそうだが、しかし、現状では第2次産業で働いていた人々を第3次産業にスムーズに移行させる仕組みが乏しく「雇用のミスマッチ」が問題になっているという。
果たして、「技術力日本」の行方はこれでいいのだろうか。考えさせられる現象である。
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