バラの住人

花弁の中の小人を探す そんな小さな日記です
もしもあなたが見つけても どうぞ秘密にして下さい(笑)

春嵐

2011年04月04日 | 我が家の伝言板
先生。昨日先生からのご返事に、Jは想像以上の喜びようで、わたくしのほうが面食うほどでした。
今日はまだ月曜日ですが、はやる心を抑えてお便りしています。
色んな事があった先週末。少々長いお話になりますがお許し下さいませ。

金曜日の夜、わたくしは早速あのドレッシングを作って見ました。
ミキサーを使いましたので、タマネギもニンジンも形も無く粉砕され、サラサラのドレッシングが出来上がりました。
醤油も関西特有の薄口醤油をベースに濃口をブレンドして、色を浅くして見ました。

  

それをJは、毎日欠かさず食べる豆腐に掛けました。お味は彼がコメントした通りです。美味しいですね!
我が家では丁度の一週間量です。楽しませて頂きます。

 

明けて土曜日。わたくしは自らを慰める、花のような時代を過ごした、若き日の職場の親睦会に、同期と連絡を取り合って、当時のまたこぼれんばかりの美しい花であった彼女と、神戸のホテルで同席することになりました。
その花がどう変ったかは、先生はお咎めになりませんので、安心してお話することが出来ます。

 

向こうに見えるのが神戸空港です。お料理も一つだけ撮って来ました。

 

中華の円卓でしたが、座らされた席がVIP席でした。歴代の支店長がずらり並び、「アー嗚呼」とため息を付きましたが、自分の歳を省みて諦めました。
まず黙祷から始まった会でしたが、どなたも神戸の震災、このたびの震災に触れられ、これからの私達の向き合い方もお教え下さいました。
そんな中にあって、男社会、サラリーマン社会の宿命でしょうか、何人もの方がこのVIP席にお見えになり、元上司に深深と頭を下げ、ご挨拶をされます。そのついでに「おお!元気か。君達も変らないね」なんてお決まりのお声が掛かかり、その都度目的のものを頬ばる箸が止まって“おおじょうしました”

先生。お知らせ済みのとんでもないことが起こったのはその後のことでした。
彼女と来年の再会を期しての帰路、わたくしは神戸と住まいの市を結ぶ単線電車に乗っていました。
わたくしの乗った車両は、最寄り駅に近づくたびに人が減り、30人ぐらいになっていたと思います。
<ドスン>ものすごい音がして、人が倒れられたのです。
見る見るうちに血が流れ出て、その方は身動きされなくなりました。
さっと非常停止ボタンが押され、周りに人が駆け寄られます。暫くの沈黙の後、110番、119番の声が上がり、若い女性が携帯を鳴らされます。相手方に説明がはじまりましたが、電車が停車した場所が中々先方に伝わりません。
車掌さんのいない電車は、こんな時とても困ります。先頭車両の運転士さんが見えて、次の駅へ進行しますということになりました。
<ゴトン>電車が動いたはずみで、その方の意識が戻りました。わたくしは瞬時に安堵しました。
段々意識が鮮明になられ、しきりに「大丈夫です」と言われるくらいになりました。
50歳を少し回られたくらいの男の方でした。キチンとネクタイを締められ、お土産らしい白い紙袋が投げ出されています。
「すみません。足が盗られました。飲んでいました」わたくしは結婚式か法事のお帰りだったのではないかと思いました。

どやどや。まず次の駅にやって来たのは警察でした。何人もおられます。
一声が、「誰かに殴られたの!」
「いいえ。わたしがひとりで転びました」その方は誠実に答えられました。
やっとのことで救急車もやって来ました。
「大分飲んだの?」救急隊員の呼びかけにその方は「ビール・・焼酎・・」と答えられようとしました。
「そんなことは救急車の中で言えばいいから」「ハイ・・」どこまでも誠実な方のようです。
「かなり血が出て、傷も深いからね。応救処置をするからね」そう言ってからも時間が掛かりました。

つかつか。連絡をお受けになったのでしょう。次に奥様がやって来られました。
「○○子!」その方は奥様の名を呼ばれました。
奥様は立派な方です。その呼びかけには応じられずに、まずわたくし達に大きな声で「皆様ご迷惑を御掛けしました。すみませんでした」と謝罪とお礼を言われました。

それで終わりで無かったのは、警察への通報者に、こまごまとした事情確認が車内の中で始まったのです。

最初の転倒からもう大分時間がたっていました。わたくしの気持ちは落ち着いていましたが、車内は開放されていましたので、夕方からの冷気が身を切るようになって来ました。薄いブルーの春のスーツでしたので震えが止まらなくなって来ました。
みかねられたのでしょうか、そっと目の前にカイロを差し出して下さる方がありました。山帰りらしき防寒着をお召しのご婦人でした。嬉しかったです。
わたくしは咄嗟の思いで、お土産に貰っていた今日のお料理の小さな中華菓子を差し出しました。
最初は固辞されましたが、気持ちでお答え下さり「ありがとう」と言って下さいました。

帰るなりJに飲みすぎの害を話して聞かせました。
それは大変だったねと言いながら、Jは先生のドレッシングをなみなみと豆腐にかけ、薩摩の彼女をクチにして、さもうまいと言った風に私の顔見てウインクをしました。
急に寒気がぶり返しました。
コメント
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