初日の出ではないですが、我家のベランダから見た神戸港の日の出です。空が明るくなる時間が、だんだんと早くなってきましたね。
これを書いている今日1月17日は阪神大震災から15年目。午前5時46分少し前に、追悼式典の行われている東遊園地からのマイクの声と時報で目を覚ましました。上空を、一日中取材のヘリコプターが飛んでいます。
15年前の冬は年末から神戸に帰省し、地震の1週間前にシアトルに戻ったところでした。東京の友人からの一報で地震を知り、でも全く神戸には電話が通じない状態。ニュースチャンネルのCNNからしか情報も入らず、数時間後に兄が携帯電話で家族全員の無事を知らせてくれるまで気が気ではありませんでした。母が「三宮が燃えてるのよ!」と電話口で泣いていたのを今でも思い出します。1年後に日本に戻った時に、関空から高速を降りて神戸に入った途端に道路がでこぼこになり、たくさんの空地をまのあたりにしてようやく地震があったんだ、という事実に直面したという、恥ずかしながら私にとっては温度差のある出来事でした。数日前にはハイチで大地震があり、莫大な数の人が亡くなっているようです。神戸の、そしてハイチの犠牲者に合掌。。。
さて、新年最初の料理教室は受験生の母達がお休みだったりして、いつもの慌ただしさがないゆったりとしたものでした。予報ではこの冬一の寒さ、雪も降るというので、暖房のないキッチン・マーレの店主としては少々びくついていたのですが、南の窓からはお日様がさんさん、とても暖かかったですね。これに気を良くして、暖房器具を購入する気がすっかり失せてしまいました。次は、夏に冷房が必要かどうかですね。
寒いうちにオーブン料理をこなそうと、メニューにはイギリスの伝統的な料理を組み合わせることにしました。
- 椎茸のクリームスープ
- 生鮭の蒸し煮ケイパーソースかけ (トマトのソテーとレモンブロッコリー添え)
- シェパーズ・パイ
- アップル・クランブル
クリームスープだけはイギリス料理ではないのですが、椎茸のおいしいシーズン、ハンドミキサーを使えば鍋一つで、生クリームを使った簡単にスープが作れるので、メニューに加えました。野菜を変えれば色々なクリームスープができますので、試してみてくださいね。
今日のメインはシェパーズ・パイと決めたのはいいのですが、添えものに困り、前菜気分で生鮭を加えました。人参、玉ねぎ、セロリ、パセリなどのくずを敷いた上に塩こしょうした鮭を載せ、白ワインと水を加えて蒸し煮にします。あっという間に香り良く魚が蒸しあがります。ルーには魚を蒸した汁も使いますので、エコな捨てるところがない料理ですね。ディルがあれば申し分なかったのに。キッチン・マーレに置いていたものを、家に持って帰っていました。申し訳ない!
イギリスでは、トマトはソテーして食べることが多いです。トマトソテーにビーンズの煮もの、ベーコンエッグ、そしてトーストというのは典型的な朝食メニュー。トマトは火を通すとビタミンが何十倍にもなるともいうし、試してみてください。ブロッコリーも、軽くゆでたものをオリーブ油でソテーし、塩こしょうとレモン汁で味付けする、というだけですっかり新しい味になります。どちらもちょっと目先を変えてみるだけで、新発見になりましたね。
イギリスで pie というと、必ずしも小麦粉でできたパイ生地を意味しないので、レストランのメニューを見ながらオーダーする時は要注意です。マッシュポテトを上に載せてオーブンで焼いたものもパイと呼びます。シェパーズ・パイshepherd's pie とは「羊飼いのパイ」ということで、元々は羊のミンチを炒めた物にマッシュポテトを載せて焼いたものを指し、牛ミンチを使ったものはcottage pie と呼ばれてたそうですが、今では何肉であろうと、ミンチ肉を使っていれば shepherd's pie、ミンチでなくシチュー肉やローストの残り肉を使ったものはcottage pie、魚を使っていれば fisherman's pie となるようです。まな板を使ず、鍋やキャセロールの上に直接野菜をぺティナイフで切って落としていく国の料理なので、全然難しくないでしょ。玉ねぎ、人参、グリンピースを加えましたが、味付けにトマトピュレを入れないでビーフ・ブイヨンで煮込む場合もあります。マッシュポテトの上には、イギリスの代表的なチーズ、チェダーチーズを載せましたが、なければピザ用チーズでも全然構いませんよ。
イギリス人とアップル・パイは、切っても切り離せません。アップル・パイが嫌いなイギリス人なんていないのではないでしょうか。なんか異常なぐらい郷愁を覚えるデザートのようです。うちの娘達も父親のDNAを確かに受け継いでいるようで、一番好きなデザートにはアップル・パイをあげるんじゃないかな。ちなみに、イギリスのアップル・パイはジャムでつや出しせず、表面に牛乳を塗って砂糖をまぶしただけの素焼きです。リンゴも日本のように甘くて水分の多いものはあまりなく、煮リンゴに適した酸味のある堅いものが主流です。
今回紹介したアップル・クランブルapple crumble はパイ生地を作るのも面倒くさいという時に、超てっとり早くできるとっても貴重なデザートです。crumble は粉にするという意味で、文字通り、小麦粉、細かく切ったバター、砂糖を両手でこすって砂状になるよう粉々にし、それを砂糖をまぶしたリンゴにのせてオーブンで焼くだけ。リンゴの汁がぐつぐつと煮えて小さな泡が吹き出し、クランブルにきれいな焦げ目がつけば出来上がりです。リンゴ以外のフルーツ、桃や色々なベリーを使ったり、フルーツも前もって煮ておくレシピもあります。もちろん私はそんな面倒くさいことはしないし、洗い物を極力少なくするよう日々心がけていますけどね。
この日も超簡単家庭料理でしたが、みんなに喜んでもらえたようで良かったです。Cheers!