恐ろしい地震と津波が東北地方を襲って4日目。テレビの画像がまるで別世界のように、関西地方はいつもと変わらない平穏な光景です。東北方面にお知り合いがおられる方達、安否確認できましたか?私は阪神大震災の時はシアトル在住だったので、今回の恐怖から、避難リュックを用意しておこうと真剣に思いました。日が経つにつれ被害状況のひどさに呆然とします。亡くなられた方々に合掌、被害にあわれた方々に心からお見舞い申し上げます。。。
こんな時にブログ更新もはばかれるけど、先日の料理教室顛末記です。
- イタリア風ミートボールトとペンネ
- クルミとクランベリー入りほうれん草ソテー
- ポテトとカボチャのグラタン
- タルト・タタン
松の実を使った料理を二つ作ろうと思ったのだけど、頼みにしていたコストコで松の実が売り切れだったので、ミートボールにだけ使いました。何しろコストコ以外で買うと高価だし中国産だから嫌なんだよね。アメリカにはミートボール・スパゲッティなるものがあるのですが、それはたぶんイタリア系移民がミートボールとトマトソース・スパゲッティを合体させちゃったんでしょうね。ハンバーグ大好き国民に受けたわけです。
今回のミートボールはとてもおしゃれで、超旨でしたね。中身はパン、ニンニク、チーズ、パセリ、松の実、卵、などなど。もちろんアメリカのミートボールはこんなに豪華で美味しくないですよ~。ところで、コストコでのお買い物を頼んだK さんが間違ってパルメザン・チーズではなくグラナパダノ・チーズを買ってきました。一見とてもよく似ているからね。でもおかげでこのグラナパダノ・チーズについて勉強できたので、ありがとう。Grana Padano は世界初のハードチーズだそうで、1000年前からイタリアの修道院で作られていたそうです。パルメザンの元祖でもあり、パルメザンはその200年後に登場します。パルメザンほど固くなく、味はマイルドです。パルメザンは12か月以上熟成するのに対し、こちらは9か月以上で完成です。グラナパダノの方が値段が安いということもあって、意外なことにイタリアでは10対1の割合でパルメザンよりもこちらの方が消費されているそうです。
さて、ミートボールを焼いた鍋底にはおいしい肉汁がくっついているので、そこにトマトの水煮缶を放り込んだだけで、美味しいソースになりました。好みでハーブ入り味付きトマト缶も混ぜるとお手軽に味付けできます。この日は3缶対2缶の割合にするつもりが入れ忘れで3対1になっちゃいましたが、うまいことに丁度良い味に仕上がりましたね~。このミートボール、パンやごはんと食べてもいいし、今回のようにペンネを添えてもいいですね。
もう一品松の実を使いたかった料理が、ほうれん草ソテー。シチリア島では松の実とレーズンを加えたほうれん草料理があるのですが、今回はくるみとドライクランベルーを加えてみました。ニンニクと白ワインでさっと炒めるだけで、目先の変わった美味しい料理ができました。レーズンより甘味が少なく酸味のあるドライクランベリーが炒め物には合うように思います。赤色も可愛いしね。
ポテトとオニオンのグラタンにはほっこりしたきたあかりなんかを使いたかったのだけど、調達できなかったので沖縄のカボチャを使ってポテトとカボチャのグラタンにしました。ケント種という、ハート型の大型カボチャです。甘味がとても強くホクホクしていると聞いていたように、グラタンに向いていましたね。グラタンにもグラナパダノとミックスチーズを混ぜて使いました。
さて、私的にはこの日のメインはタルト・タタンでした。というのも、自宅のオーブンには当日使った大型フライパンが入らないので、実験ではリンゴを煮てからパイ皿に移してかえて焼いていました。だからこの日がフライパンによるぶっつけ本番、成功するといいな~と心の中では少し不安があったのです。まずはタルト・タタンを知らない人にその言い伝えをご紹介:19世紀後半、パリ南方のソローニュ地方にタタンという名の姉妹が小さなホテルを経営していました。ある時、りんごのタルトを作っていて焼く時にうっかり間違えてタルト生地を入れ忘れ、りんご、砂糖、バターだけで焼いてしまったので慌てて途中で上から生地をかぶせてみたら意外にも底にたまった砂糖がカラメル状になってりんごに染み込み、なんとも香ばしいすてきな味になったそうです。それが美味しいと評判となり、パリの有名レストラン、マキシムの定番デザートにまでのぼりつめて今や世界中に広まっているというわけ。
作り方も色々あり、リンゴの切り方も薄くスライスして放射線状に並べる場合もありますが、家庭で簡単に、という点から4つ切りのくし型でころんとした醍醐味のある食べ応えあるものにしました。オーブンに入るフライパンで調理すると洗い物も少なくて簡単です。リンゴは形が崩れないよう水分の少ない種類がいいのですが、日本のリンゴは概してジューシー。ふじがこのタルトには一番向いているようです。
バターもこだわり、最近愛用している美味しいカルピスの無塩バターを使いました。せっかく具が美味しいのだからパイ生地も美味しくしたい。冷凍パイ生地を使えば本当に楽だけど、以前キッシュの時に冷凍ものを使い、次回はパイ生地を手作りしようね、と言ってたので、こちらもカルピスバターで作りました。ジップロックにサイコロ状にしたバター、小麦粉、塩、砂糖、冷水を入れてモミモミ。冷凍庫で冷やして何度も重ねては押さえ、綿棒で伸ばしていくだけです。暇があればやってみてね。
そうして、うまくカラメル状になったリンゴの上にパイ生地をおき、端はスプーンで鍋の中に突っ込んでいくだけ。なんとも繊細さの伴わない大胆な作業でしたが、すっごく美味しくできましたよね。お皿をかぶせてひっくり返すのを早めにしないと、冷めるとカラメルが固くなっちゃて鍋底にひっついちゃうので注意してくださいね。Tさんが忍耐強くリンゴのカラメル化(英語で caramelize っていいます)を担当してくれたおかげで、大成功でした!
「家人がこの可愛らしさ、価値を分かってくれなくて誰も食べてくれないのよ~」、と同じことを言いながらとっても春らしい素敵なお菓子をFさんとTさんが持って来て下さいました。モロゾフのチョコレートと、京都、柏家宏之菓舗の千種の季彩。キッチン・マーレの人たちはその価値大いに分るから、愛でながらおいしく食べさせていただきした。ごちそうさま~、こういうのいつでも大歓迎だからね!