昨日は繁昌亭の前売チケットを何枚か買った後、
マンガ喫茶なぞで時間を潰して
太融寺の「ラクゴリラ」の会へ。
第95回、だから来年は100回を迎える勘定。
「八百屋甚兵衛」(南斗)
この人、講談の会ではよく見るが、落語会の前座で見るのは初めて。
いろいろマクラを振っていた。
もう少しゆっくり喋ればいいのに。
ネタは相変わらず、特に上下を振った時に目線が泳ぐので、
落ち着いて見ていられない。
ところどころウケてはいたので、
筋は伝わっていたのだと思う。
「世帯念仏」(こごろう):△
イチローの話など、「ルーチン」の話題からネタへ。
ネタの出来は、正直、あまり良くなかったと思う。
まず、このネタで念仏を唱えている男はそこそこ老けている
(嫁さんとも長い間一緒にいる)と思うのだが、
比較的若く拵えられており、そこに違和感があった。
また、念仏も別にこの日だけ唱えているものでなく、
毎日「ルーチン」でやっている。
そのあたり、倦怠感がベースとして必要だと思う。
他のことをやっても叩く手のリズムは狂わず、
時に止まるのがアクセントになる、といった作りだろう。
そのあたりが、ちと雑かな。
念仏に戻る時に声を大きくして変化を付けようとしたが、
あまりハマらなかった印象。
ウケが次第に大きくなる、という感じではなかった。
途中で「虫を見つけて叩き潰す」のは面白かったが、
これに比べると最後の「泥鰌を殺す」話は弱いと思う。
バランスを考えると「虫を叩き潰す」は入れないか、
或いは、もっと強い設定のサゲにする必要があるだろう。
個人的には、泥鰌屋との「1匹落ちた」といった応酬のあたり、
少しくどく感じた。
米朝に比べてこのあたりの言い方などが
全体に強めであるが、変化には乏しいのだと思う。
「鍬潟」(文三):○-
マクラは体型やプロレスラーの話など。
「鍬潟」って個人的に苦手なネタで、何となく後味の悪さもあるのだが、
その中ではかなり良い出来なのだろう、と感じた。
男の、屈託もありつつ表向きは明るく振舞う様子、
周囲がこの男を見る目の温かさなど、
文三のニンに合ったネタなのかな、と思う。
ちょっとした表情付け、口調など、よく考えて作られている。
ただ、「2尺2寸」(約66cm)と具体的な身長が出てくると、
「小人プロレス」を見るような感覚を持ってしまう。
それは私の「差別意識」なのかも知れないが、
「小さい人が、小さいなればこその大変さ」をすっと笑うことは
私にはできないなあ。
正直、少ししんどいネタ。
「ひやかし帰り」(花丸):△
旅の話やら何やらを振ってネタへ。
よく分からないネタ。
「超古典」か「名付け親」か何かのネタだろう。
まず、入りで新町の花の様子を描写する地の文にかぶせて
お囃子を入れているのだが、そこからして変。
それは「ハメモノ」ではなかろう。
男2人に廓をひやかさせて、その会話の背景に入れるとか、
そういった入れ方をする方が上方落語らしいと思う。
筋も、何がやりたいかよく分からん。
「ひやかし帰り」の雰囲気を出すのであれば、
何かもっとオリジナルの、かつ色街に絡むような会話・応酬をして欲しい。
あまりにオリジナリティが感じられない応酬だった。
花丸としては強弱の付け方、間の取り方など、いろいろ工夫していたと思うが、
如何せんテキストが悪過ぎる。
最後は何か手帖を拾って、
それが「役者の色事帖」か、と思ったら、というサゲ。
恐らく、この部分が元々あって、そこに付け加えていったのだろう。
それならば、もっと早く「色事帖」を拾い、
「それを巡る妄想を繰り広げる」話メインで、
そこに先ほどの「ひやかし」の場面を利用する、
といった展開の方がすっきりすると思う。
「尻餅」(生喬):△+
マクラは餅つきを巡る話あれこれ。
私も「苦餅」と言って29日は避けるイメージがある。
誰かの「尻餅」の科白の影響かも知れないが。
ネタは、きっちりやっているが、まあ普通。
最初のおかみさんとの会話は先日見た「掛け取り」と同じ。
おかみさんが「音なとさしてやったら」と言うのが、
最初から本当に「音だけ」の意味で言っているように感じた。
それは科白の流れで「本当に搗くのは無理」とおかみさんが思っているように
聞こえたからだと思う。
ただ実際にはおかみさんは、「ほんの少し」といった意味で言っているだろうから、
このあたり、少し科白回しを考える必要があるかも。
寒い中、布団の中で色々言う件はあったが、
「する」話はなし。後の「またすんのか」もなかった。
寒さやその中での夫婦の情愛、なんてベースが出しやすいと思うので、
個人的にはこの設定は入れる方が好みだが、
まあ、今日日別に入れない選択もあると思う。
大戸、井戸端など、きっちりとした仕草。
特に無茶苦茶貧乏、という印象もなかったが、
その部分に特に焦点を当てなくても良いかな、とも思う。
尻餅を叩くリズム、音も良かった。
ただ、あまり痛い感じがしなかった。
サゲを考えて、もう少し痛い様子を見せておいた方が良いと思う。
サゲを変えていた。
悪くはなかったが、「白蒸し」でも良いと思う。
あと、「ケツ割る」は、少し縁起は悪いサゲかも知れない。
マンガ喫茶なぞで時間を潰して
太融寺の「ラクゴリラ」の会へ。
第95回、だから来年は100回を迎える勘定。
「八百屋甚兵衛」(南斗)
この人、講談の会ではよく見るが、落語会の前座で見るのは初めて。
いろいろマクラを振っていた。
もう少しゆっくり喋ればいいのに。
ネタは相変わらず、特に上下を振った時に目線が泳ぐので、
落ち着いて見ていられない。
ところどころウケてはいたので、
筋は伝わっていたのだと思う。
「世帯念仏」(こごろう):△
イチローの話など、「ルーチン」の話題からネタへ。
ネタの出来は、正直、あまり良くなかったと思う。
まず、このネタで念仏を唱えている男はそこそこ老けている
(嫁さんとも長い間一緒にいる)と思うのだが、
比較的若く拵えられており、そこに違和感があった。
また、念仏も別にこの日だけ唱えているものでなく、
毎日「ルーチン」でやっている。
そのあたり、倦怠感がベースとして必要だと思う。
他のことをやっても叩く手のリズムは狂わず、
時に止まるのがアクセントになる、といった作りだろう。
そのあたりが、ちと雑かな。
念仏に戻る時に声を大きくして変化を付けようとしたが、
あまりハマらなかった印象。
ウケが次第に大きくなる、という感じではなかった。
途中で「虫を見つけて叩き潰す」のは面白かったが、
これに比べると最後の「泥鰌を殺す」話は弱いと思う。
バランスを考えると「虫を叩き潰す」は入れないか、
或いは、もっと強い設定のサゲにする必要があるだろう。
個人的には、泥鰌屋との「1匹落ちた」といった応酬のあたり、
少しくどく感じた。
米朝に比べてこのあたりの言い方などが
全体に強めであるが、変化には乏しいのだと思う。
「鍬潟」(文三):○-
マクラは体型やプロレスラーの話など。
「鍬潟」って個人的に苦手なネタで、何となく後味の悪さもあるのだが、
その中ではかなり良い出来なのだろう、と感じた。
男の、屈託もありつつ表向きは明るく振舞う様子、
周囲がこの男を見る目の温かさなど、
文三のニンに合ったネタなのかな、と思う。
ちょっとした表情付け、口調など、よく考えて作られている。
ただ、「2尺2寸」(約66cm)と具体的な身長が出てくると、
「小人プロレス」を見るような感覚を持ってしまう。
それは私の「差別意識」なのかも知れないが、
「小さい人が、小さいなればこその大変さ」をすっと笑うことは
私にはできないなあ。
正直、少ししんどいネタ。
「ひやかし帰り」(花丸):△
旅の話やら何やらを振ってネタへ。
よく分からないネタ。
「超古典」か「名付け親」か何かのネタだろう。
まず、入りで新町の花の様子を描写する地の文にかぶせて
お囃子を入れているのだが、そこからして変。
それは「ハメモノ」ではなかろう。
男2人に廓をひやかさせて、その会話の背景に入れるとか、
そういった入れ方をする方が上方落語らしいと思う。
筋も、何がやりたいかよく分からん。
「ひやかし帰り」の雰囲気を出すのであれば、
何かもっとオリジナルの、かつ色街に絡むような会話・応酬をして欲しい。
あまりにオリジナリティが感じられない応酬だった。
花丸としては強弱の付け方、間の取り方など、いろいろ工夫していたと思うが、
如何せんテキストが悪過ぎる。
最後は何か手帖を拾って、
それが「役者の色事帖」か、と思ったら、というサゲ。
恐らく、この部分が元々あって、そこに付け加えていったのだろう。
それならば、もっと早く「色事帖」を拾い、
「それを巡る妄想を繰り広げる」話メインで、
そこに先ほどの「ひやかし」の場面を利用する、
といった展開の方がすっきりすると思う。
「尻餅」(生喬):△+
マクラは餅つきを巡る話あれこれ。
私も「苦餅」と言って29日は避けるイメージがある。
誰かの「尻餅」の科白の影響かも知れないが。
ネタは、きっちりやっているが、まあ普通。
最初のおかみさんとの会話は先日見た「掛け取り」と同じ。
おかみさんが「音なとさしてやったら」と言うのが、
最初から本当に「音だけ」の意味で言っているように感じた。
それは科白の流れで「本当に搗くのは無理」とおかみさんが思っているように
聞こえたからだと思う。
ただ実際にはおかみさんは、「ほんの少し」といった意味で言っているだろうから、
このあたり、少し科白回しを考える必要があるかも。
寒い中、布団の中で色々言う件はあったが、
「する」話はなし。後の「またすんのか」もなかった。
寒さやその中での夫婦の情愛、なんてベースが出しやすいと思うので、
個人的にはこの設定は入れる方が好みだが、
まあ、今日日別に入れない選択もあると思う。
大戸、井戸端など、きっちりとした仕草。
特に無茶苦茶貧乏、という印象もなかったが、
その部分に特に焦点を当てなくても良いかな、とも思う。
尻餅を叩くリズム、音も良かった。
ただ、あまり痛い感じがしなかった。
サゲを考えて、もう少し痛い様子を見せておいた方が良いと思う。
サゲを変えていた。
悪くはなかったが、「白蒸し」でも良いと思う。
あと、「ケツ割る」は、少し縁起は悪いサゲかも知れない。