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「黒字社員の言葉、赤字社員の発想」というサブタイトルが付いている。
ここでは「黒字社員」とは「会社の利益を増やす人」、
「赤字社員」とは「会社の利益を減らす人」というそのままの意味で、
会社の利益に貢献する人、逆に貢献しない(マイナスになる)人の特徴を描写している。
筆者は公認会計士であり、
黒字社員と赤字社員の差異を「仕事の成果を数字で考えられるかどうか」に見出している。
その「数字」を
■売上を増やす
■コストを減らす
■仕事の生産性を高める
■お金の流れを意識する
■隠れコストを意識する
の5つの観点に分類している。
一つ一つの章は10前後の項目になっており、読みやすい数になっている。
そして具体的に説明する際の糸口として、
経営者などの言葉を「黒字コトバ」として引用している。
この言葉は関西弁(若干、汚めではあるが)であり、
関西人である私としては親しみやすい点。
内容は、個人的には高度過ぎず、
しかし知らなかった情報や言葉、役立ちそうな観点もあり、
いろいろ得るところも多かった。
知識レベルで得られたのは、
消費者が商品の情報に接してから購入するまでの心理的プロセスを表す「AIDMAモデル」。
マーケティングの世界では常識的なのかも知れないが。
Attention(注意)
…商品・サービスに気付いてもらう
Interest(関心)
…商品・サービスに興味を持ってもらう
Desire(欲求)
…この商品・サービスをもっと知りたいと思ってもらう
Memory(記憶)
…この商品・サービスを完全に記憶してもらう
Action(行動)
…この商品・サービスを買ってもらう
或いはもう少し長期的な「AMTULモデル」。
Awareness(認知)
…認知してもらう
Memory(記憶)
…記憶してもらう
Trial(試用)
…サンプル品などを使ってもらう
Usage(使用)
…1度買って使ってもらう
Loyalty(固定客)
…再度購入して顧客になってもらう
このあたりは、自分が仕事をする上で
「このお客さんはどのステージだろう」「今後どうしてもらうために行動していけばいいだろう」と
考える観点になると思う。
生産現場の業務改善で使われる「ECRSの原則」の観点も、
自分の仕事のやり方の見直しに繋げられそうな気がする。
Eliminate(排除)
…その業務をなくせないか?
Combine(結合)
…業務をまとめて、かかる時間を短くできないか?
Rearrange(順番の入れ替え)
…仕事や作業の順番を入れ替えて効率的にならないか?
Simplify(単純化)
…もっと簡素化したやり方で同じ結果を生み出せないか?
また、4種類のジンザイ(人財、人材、人在、人罪)という話は知っているが、
これを「会社への利益貢献」と「周囲への影響」の2つの軸で分類する、
というのは初めて触れた観点で有意義だった。
例えば「人財」と「人罪」の差異が「会社への利益貢献の有無」である点から、
一つ間違えば「人財」が「人罪」になってしまう恐れがある、ということは
管理職のパワハラなどにも繫がる話だろう。
その他、新規で得られた訳ではないが
改めて実感できたポイントもけっこうあった。
役立てやすい、良いビジネス書だと思った。