印 (転写による字入れ)
No.918で紹介した、成人書道講座「小篆で氏名」で、小篆の練習をしてから、印稿を原寸で作ってもらいました。
これらは、14人分の転写を私が一気にやったところです。
篆刻がはじめての人に、きっちりと手順を踏んで学ぶというのが正しいのかもしれません。
しかし、ほとんどの受講生の方が60台後半から80台のご婦人ということ、そして限られた時間で、楽しく作りあげるとなると、難しい手順では行えません。
もちろん、正しい手順は説明しますが、ご自分の個性の出る所はやってもらって、こちらでできることは準備してしまおう、ということにしました。
そこで、前回の終りに印稿を原寸で墨書してもらい、それをコピーしてマジック転写という段取りです。
ところが、黄色のマジックが手に入りません。この町には文房具屋さんがありません。ネットで取り寄せればいいのですが、他の方法はないものかと調べました。
見つけたのが、除光液による転写です。
除光液ならば100均で手に入ります。ただ、除光液なんて使ったことがないので、どんなものを使うのか。果してコピーのトナーが溶けるのか。やってみなければわかりません。
ポイントは、成分にあります。トナーを溶かす成分が入っているかどうかです。
その成分は、アセトン。
除光液といってもいろいろありますから、アセトンの入っているものでなければなりません。
そして、黄色のマジックでもそうですが、転写にはちょっとしたコツがいります。
やはり、はじめて人には、何度も失敗して時間がかかりそうです。
そういう訳で、14人分の印を転写しました。
実は、黄色のマジックよりもきれいに転写できる、ということが分かり、うれしいですね。
手順は
①印稿をコピーする。
②印稿のコピーを印材に合わせて切る。(上下は印の大きさ、左右は数㎝ゆとりをもって)
③印面を整える。(サンドペーパー120番、水ペーパー600番)
④整えた印面に、印稿のコピー面を着けてセロハンテープで留める。
⑤印面に貼ったコピーの上に、綿棒で除光液をつける。
⑥印面全体に除光液が染み込んでコピーの字が見えたら直ぐに、本などに押し当てる。(紙を数枚当てる)
⑦セロハンテープを外して、転写しているかを確認する。
⑧うまくいっていれば字入れ(布字)の完成
そして、次はいよいよ刻です。
刻は、ご自分でやってもらいます。
楽しみですね。