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夏空と青田に囲まれた山里に、鹿の子ゆりの紅い色が群れをなして輝いています。
透明な陽射しと蝉時雨・・・
ほんの少し登っただけですが、駅がある町中とは打って変わって清々しい空気です。
彼の家の裏にある、とてつもなく大きな倉庫の片付けに汗を流しました。
高さ3メートルはあるかと思う引き戸を体重をかけて開けると・・・
あれ?沢蟹が大慌てで逃げて行きました。
青みと赤みが交じり合った透き通ったような甲羅でした。
エメラルドグリーンの尻尾を振り振り、トカゲも茂みに逃げ込みました。
作業をしているすぐ脇には草の葉に乗った1センチ位の青蛙。
忙しくてよく見なかったけれど、トンボともガガンボともつかぬ何かも飛んでいました。
小さな命に囲まれて、その中で生きているんだなぁというささやかな喜びを感じながらの小一時間の作業を終え、雑巾を洗いに庭に廻ると、隣家の黒いラブラドールがお昼寝中。
チラッと目を開けて「なんだ、おまえか」という顔つきでまた寝てしまいました。