~こころに吹く風~

1952年生まれの みよです。
人生の花野に遊びたい。
心躍ることも心塞ぐことも綴ります。

映画と写真展に想う戦後

2011年08月10日 | 日々の出来事・想うこと
映画「父と暮せば」を観ました。
井上ひさしの戯曲を映画化したものです。
終戦直後の広島に住むヒロインと、彼女のときめきから生まれた父親の幻との二人芝居です。
原爆が投下された時一緒にいた父を助けられなかったヒロインは、生き残った後ろめたさから幸せになることを拒みます。
炎に焼かれる人々(丸木美術館 原爆の図)と瓦礫の山の映像、ヒロインの苦悩を見ていると、今、東北を襲っている悲劇とダブって仕方がありませんでした。

録画した映画を観た翌日、東京都写真美術館で江成常夫写真展「昭和史のかたち」を観ました。
印象に残ったのは、B-29「エノラ・ゲイ号」が原爆「リトルボーイ」を、「ボックス・カー号」が原爆「ファットマン」を搭載して、広島・長崎に向かったテニアン島の写真でした。
それから、戦争に翻弄された年老いた人々の表情。
ある中国残留孤児の女性の写真に添えられた
「苦しみを背負う心の中に楽土はある」
というキャプションの前でしばし動けなくなりました。

私の母はアメリカに生まれ育ち、満州で終戦を迎えました。
米国の軍属として戦後を生き、アメリカへの望郷の想いを抱きながら日本で暮らし、今86歳です。
母の人生は、この写真展のポートレートの人々とは全く違った色彩をしています。
それもまた一人の女性の重い命です。
最近めっきり老け込んだ母のポートレートを撮りたいとふと思いました。