効果効能については、1つのツボにおいて幾つもあることがほとんどです。どのように刺激するか、他のツボも組み合わせるのか、等々、用い方によって変わります。何に一番効くのか分からない方もいると思いますが、セルフケアの場合は探しやすいツボに軽めに触れていくのが良いと思います。
体質改善という言葉をよく耳にしますが、より健康な状態で生活するためにも、まず自分の体質を知ることが大切です。
東洋医学においては、体は「気(き)・血(けつ)・水(すい)」の3つで構成され、それらが適切な量と質を保ち、体内を巡ることで健康な状態を維持できると考えます。
「気」はエネルギーのようなもので、身体を動かしたり温めたりします。
「血」は身体中にエネルギーや栄養を運び潤いを与えるもので、精神を安定させる働きもあります。
「水」は血液以外の水分のことです。
最近はネットなどでも簡単に体質チェックができるようになりました。
◇気虚(ききょ)
活動するためのエネルギー源である「気」の量が不足した状態です。だるい・疲れやすい・気力がない等の症状が現れます。そのため胃腸の消化吸収力も低下し、飲食によってエネルギーを補いづらい状態にもなり、さらに気が不足する事態にもなります。
対策として、生ものなど冷たいものを避け、温かく消化の良いものをよく噛んで食べるようにします。睡眠をしっかりとることも大切です。
◇気滞(きたい)
「気」は本来のびのびと全身を巡るものですが、体が疲労したり精神的なストレスがかかったりすると、「気」の巡りが悪くなり、滞ってしまった状態です。喉が詰まったような感じになる・お腹が張る・イライラする等の症状が現れます。
対策として、楽しいことを考える、ストレッチやウォーキングなど全身を使って運動するようにします。運動が難しい場合、深呼吸するだけでも効果があります。
◇血虚(けっきょ)
「血」の量が不足し、体に必要な栄養を与えられなくなっている状態です。抜け毛が増える・皮膚が乾燥する・足がつる等の症状が現れます。同時に「気」も不足し「気血両虚」の状態に陥っている人も少なくありません。
対策として、「血」を補う食材(ほうれん草、にんじん、小松菜、レバー、黒豆、ナツメなど)を摂るようにします。お灸も血を元気にする効果があるためおすすめです。
◇瘀血(おけつ)
「血」の量の不足や、ストレスや冷えなどによって「血」の巡りが悪くなり滞った状態です。手術や転倒による打撲によっても引き起こされます。肌荒れ、目の周りのクマ、頭痛、生理痛などの症状が現れます。
対策として、冷えないよう体を温めるようにし、睡眠を普段より多めにとるようにします。「血」の巡りを良くする食材(にら、玉ねぎ、シナモンなど)を摂るのもおすすめです。
◇水毒(すいどく)/水滞(すいたい)
汗や尿などで体外に排出されるはずの水が体内に残っている、水はけが悪くなっている状態です。重だるい・むくみ・めまい・頭重感などの症状が現れます。進行すると水毒(すいどく)となります。花粉症や気管支喘息などの疾患とも関係が深いとされています。
対策として、食べ過ぎ飲み過ぎに気を付け、腹八分目を心がけます。ウォーキングや水泳などの全身運動で適度に汗をかくのもおすすめです。
◇陰虚(いんきょ)
体にとって必要な量の水が不足した状態です。潤いが足りないために、熱が盛んになり、手足のほてり・のぼせ・口渇感・寝汗をかくなどの症状が現れます。
体を潤す食材(れんこん、トマト、豆腐、山芋など)を摂るようにします。過労、喫煙、性生活の過多なども水分不足の原因となるため、注意が必要です。
以上が東洋医学的な体質の分類です。
これらのうち、1つだけ当てはまるという人は少なく、幾つか当てはまっている人がほとんどです。体質というのは生まれつきのものですが、生活環境によっても変動するものです。元々の体質は変わらないけれど、その時々の状態で元々ではない体質が強く現れることもあります。
年齢によっても変化することが多いので、自分はこの体質だと決めつけず、気になる症状がある時にチェックリストを再確認して、その時に必要な対策(生活習慣の見直しや食生活の改善)を行うことが大切です。
東洋医学の考え方は、さまざまな角度から身体を診て判断するため、一言で言い表せない難しさがあるのも事実。興味のある方は、漢方外来、漢方薬局、鍼灸院などで聞いてみるのもおすすめです。