夏休みもそろそろ終わり。国分寺市内の公立小学校は昨日26日から二学期が始まったようです。
夏休みいろんな遊びを体験した子、宿題が終わらず半泣きの子、それぞれの夏休みを過ごされたかなと思います。
夏といえばプール。プールといえば「命札」のことを思い出します。「命札」って何?と、ご存じない方が多いのではないでしょうか?
私の出身地の愛媛県松山市では、プールに入る時に必ず「命札」を持っていく習慣がありました。
この「命札」には名前と住所・電話番号を書くことになっていて、忘れるとプールに入れないという、子どもにとって切実な状況に陥ります。というのも、プールに入る際にプールサイドに「命札」を置いて、プールから出る際に持って帰ることで、プールの中に子どもが残っているかどうか確認しやすいため、という理由があったから。
さて、この「命札」はかまぼこ板で出来ています。
毎年プールの授業が始まる前に、各自自宅で作るのです。
私は泳げないのでプールが苦手でしたが、「命札」作りは大好きでした。まずかまぼこを買ってきて、なるべく板を削らないよう慎重にかまぼこを切り離します。妥協したくなくて何個もトライした年もありました。必然的にかまぼこばかり食べることになりましたが、かまぼこも好きなのでむしろ嬉しいくらいでした。
きれいに削ったかまぼこ板を洗い、乾かします。そして油性マジックで表側に自分の名前、裏側に住所、電話番号も書きます。私の名前は画数が多くて、どんなに気を付けても字がつぶれてしまいがち。なるべく美しく書けるよう緊張しながら名前を書いていました。
仕上げにキリで穴を開け、紐を通したら「命札」の出来上がり!
夏休み中の学校のプール開放日は弟を連れて行くことがほとんどでしたが、弟が何度も「命札」を持っていき忘れるので、泣きべそかいている弟を連れて家に戻るのが面倒だった記憶もあります。当時もなぜこんなに厳しいのかと不思議でしたが、今思い出しても不思議なシステムだったと思います。とにかく「命札」は夏休みの子供の必須アイテムでした。
どうやら、中国・四国・九州地方の一部地域では「命札」の習慣があったようです。東京出身の夫にはなかなか信じてもらえませんが、これは本当にあった習慣なのです。
今もまだ続いているのか気になり、地元の友人の子どもはどうなのか聞いてみたら、今は残念ながら?「命札」はないそうです。
果たしていつ頃まで「命札」の習慣が続いていたのかは謎ですが、あのへんてこな習慣がないと思うと少し寂しい気がしました。