国立がんセンタ- 新薬開発活用に期待
人間の皮膚や胃の細胞に特定の3種類の遺伝子を導入し、肝臓の細胞のもととなる幹細胞を作ることに国立がん研究センタ-研究所の石川哲也室長らが成功した。都内で6月に開かれる研究会で発表する。幹細胞から作った肝臓の細胞は、新薬開発の際に毒性確認試験などに使えるのではないかという。人間の肝臓の細胞は体外ではすぐに死ぬが、この幹細胞はいったん凍結保存した後に解凍し、培養することもできた。石川さんは「理論的には幹細胞を無限に増やすことができ、目的の細胞に簡単に分化させることができる。今後は質の良い細胞ができるようにしたい」と話している。石川さんらは、“運び屋”のウイルスを使って遺伝子を導入。培養すると、肝臓の細胞で働く50種類以上の遺伝子が機能していることを確認し、うち数種類はタンパク質もできていた。肝臓の幹細胞に特有の遺伝子も働いており、肝臓の幹細胞と判断した。この幹細胞は200日以上継続して培養でき、凍結、解凍しても増え続けた。新薬開発の際は毒性確認試験のほか、肝臓の細胞に肝炎ウイルスを感染させて薬の効果を確かめるなどの利用が想定されるという。特定の細胞を作る方法としては、新型万能細胞(IPS細胞)などから誘導するほか、今回のように体にある皮膚などの細胞から別の細胞を直接作製する方法があり、最近では神経細胞や軟骨細胞の作製が報告されている。
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