国際チ-ム 医療応用前に「解明を」
身体のさまざまな細胞に分化する能力があり、ほぼ無限に増殖す るヒトの胚性幹細胞(ES細胞)が、受精卵から作成して1~3年間 培養を続けると、染色体の本数や遺伝子制御部分などにがん細胞 に似た異常が表れることが分かった。米ジョンズ・ホプキンズ大など の国際研究チ-ムが、米科学学誌ネイチャ-・ジェネックスの電子 版に発表した。ES細胞は、糖尿病患者の膵臓やパ-キンソン病患 者の脳などに移植し、機能を再生する医療の実現が期待されてい る。生体移植後、がん化する危険性は従来も指摘されていたが、長 期培養で各種の異常が表れることが、複数の研究機関の細胞株で 明らかになったのは初めて。研究チ-ムは、医療応用の前に、異常 発生原因を解明するとともに、定期的に健全性を点検する必要があ ると提言している。研究チ-ムは、米国二ヵ所とシンガポ-ル、スウ ェ-デンの計四研究機関で作成後1~3年経過した九種類のES細 胞株について、作成後間もない段階と比較した。その結果、染色体 の本数か゛部分的に多過ぎたり少なかったりする株が四つ、細胞核 のDNAの遺伝子制御領域に異常がある株が八つ、ミトコンドリア (細胞内小器官)のDNA塩基配列に異常がある株が二つあった。
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