言語中枢を鍛えよう=當瀬規嗣解説
私たちは言葉を使って生きています。おしゃべりをして、お互いの意 志を通い合わせます。本を読んだりテレビを見たりするときも、言葉 を見聞きして内容を理解しています。このコラムや載っている新聞も、 言葉の塊そのものです。もつと簡単に、何かをしようと考える瞬間、 頭の中でものの名前を思い浮かべたり、「何々しよう!」と考えたり はしていませんか?そう、考えること自体、言葉を使っているのです。 頭の中で言葉を思い浮かべないで何かすることもたくさんありますが、 そのときは「思わず」と表現しますね。そうすると、人は言葉を使って 思っています。「好きだな~」なんてね。言葉が、社会をつくり、思想 をつくり、文明をつくったといえます。言葉の発明が、人類を繁栄へと 導いたのです。この大事な言葉を扱う脳の部分を、「言語中枢」とい います。大脳の、ちょうど耳の上辺りのところに位置しています。不思 議なことに、言語中枢は右か左かどちらか片側の大脳にしか存在せ ず、言語中枢のある方の大脳は反対側より少し大きくなっています。 90%の人は、言語中枢が左側にあることが分かっています。研究に よると、利き手の右左と言語中枢の右左は全く関連がないそうです。 生まれたばかりの赤ちゃんは言葉を使えません。ですから、言語中 枢は生まれてから成長する間に、親などに影響されて発達するわけ です。つまり、言語中枢は鍛えられるということです。最近は、とかく 言葉をおざなりにする人が多いようです。本を読み、よくしゃべり、よ く考え、よく書いて、言語中枢を鍛えましょう! (とうせ・のりつぐ=札医大医学部長)
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます