日米の比較実験で“差”なし
一般に集団主義的とされる日本人と個人主義 的とされる米国人。ところが「集団への同調」に ついて日米で違いはほとんどない、とする実験 結果を東京大の高野陽太郎教授(認知心理学) らがまとめ、このほど米国の心理学専門誌に発 表した。実験は、同じサ-クルに所属する学生 5-9人に、長さの違う線3本が書かれた紙と、1本だけ書かれた紙 を同時に見せ、同じ長さの線を選ばせるもの。ただし本当の被験者 は1人だけ。残りは「サクラ」で、わざと間違った線を選ぶように指示 してある。40組に実験した結果、被験者がサクラと同じ線を選んだ 回数は、平均で約25%だった。米国人を対象とした同様の実験でも 同約25%。高野教授は「『日本人は自分の意見を押し殺しでも集団 に同調しようとする』という日本人論は間違いだ」と指摘した。なぜこ のような日本人論が広まったかについては「戦前から米国人が抱い ていた『日本人は集団主義』というイメ-ジが戦後急速に広まり、日 本人に刷り込まれたのではないか」と推察している。同様の実験は、 過去に国内で複数行われており、高野教授らは1997年にこれらの 結果をまとめ「同調は平均23%で、日米間の差はない」とする論文 を発表している。しかし、寄せ集めの学生を対象にした実験だったこ とから「日本人は『ウチ』の集団には同調するが『ヨソ』には同調しな い」との批判が寄せられていた。このため高野教授らは、平均で2年 以上同じサ-クルに所属し「ウチ」の集団と言える学生を被験者とし て、今回の実験を実施した。
<メモ> 高野教授によると、日米の国民性を比較した研究は国内外 で19件見つかった。「日本人の方が集団主義的」とする結果は1件の み。13件は「はっきりした差がない」、5件は「米国人の方が集団主義 的」だった。
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