゛まるかん人゛プラトーク

元気とキレイを追求すると、人生は楽しく過ごすことと・・・!?

限界の先に<地方再生への道④>

2008-06-09 15:00:00 | 社会・経済

都会の孤独                                                            まち分断する高齢化

100_0564 東京都多摩市の「多摩ニュ-タウン」-。副都                            心の新宿から私鉄で四十分ほどのこのベットタ                            ウンにも、高齢化の波が押し寄せる。止めどない                           荒波は住民の足元を浸食し、ここにも限界集落を                          つくろうとしていた。

見えぬ境

「ニュ-タウンどころか、もうオ-ルドタウンさ」。                            地元商店街で菓子店を経営する永井照章(58)は                          自嘲気味に語ると、お年寄りがまばらに行き交じ                           る通りに目を移した。ニュ-タウンが開発されたの                          は1970年代。地元の諏訪・永山地区には、都営                          と独立行政法人・都市再生機構の賃貸団地、それに同機構が手がけた               分譲団地がある。そのいずれねが千戸単位の巨大団地を形づくつて                          いる。どこにでも訪れるはずの高齢化。だが、その影響がどこも同じだ                          とは限らない。分譲団地に現役世代が多いのに対し、賃貸団地には                           もっぱら年金生活者が住む。最近はその賃貸団地の中で、機構の団                            地から、家賃が半分ほどの都営に移り住む高齢者が増えてきた。年                          齢差や収入差に従った流れが、ニュ-タウンを三つに分断する。見え                          ない境界線を意識するかのように、分譲団地に足を踏み入れることは                          あまりない。独り暮らしの高齢者が多くなった都営賃貸団地は社会的                          な孤立を深め、孤独死が目立つようになった」(地元住民)地元で一級                          建築士として働く秋元孝夫(59)は10年ほど前、そんな団地の変化に                          気が付いた。NPO「多摩ニュ-タウン・まちづくり専門家会議」(通称・                          まちせん)を立ち上げたのは、小さな変化の中に衰退の兆しをかぎ取っ                         たからだ。秋元はいま、まちせんの理事長として、商店街の七夕祭り                          の復活などまちの活性化に奔走。団地住民らに「特定の賃貸団地に                          高齢者が集中する流れを変えていかないと、現代のうば捨て山ができ                          る」と訴える。

けん引役

なおも人口が増え続ける首都圏。過疎化とは無縁ながらも、足元は磐                          石とは言えない。政策研究大学院教授の松谷明彦(62)は「高齢化が                         顕著な北海道など地方の陰に隠れて目立たないが、これからは大都                          市でも急速に高齢化が進む」と指摘する。首都圏に一極集中的な人口                         増が続くとしても、20-30歳代の人口構成は既に高齢化が進んだ地                         方と大差がなくなると予測する。むしろ、首都圏の方が経済成長力が                          大きい分、いったん活力を失い始めれば、地方よりもその落差は大きい。                        戦後、日本は都市部と地方を交通・通信網で結ぶことで、地方の発展                          を伸ばしてきた。だが、都市部がけん引役を担えなくなれば、「もはやそ                         ういう政策はとりえない。大胆な政策転換が必要だ」と松谷は言い切る。                        団地住民と一緒に再生に智恵を絞る高齢者用の部屋を造る。そして、                          高齢者が入居している中層階をメゾネット型の(高層住宅の中で二階建                         て風の意)広い部屋に改造し、子育て世代を呼び込む-。「各世代が混                         然一体と暮らすまちにすれば、新たなニュ-タウンができる」。秋元は、                         迫りくる重たい壁を押し返すように言葉に力を込めた。高齢化の波に押し                        流されるように、かつて誇らしげに「ニュ-タウン」を冠した団地はその輝                         きを失いつつある。それは多摩市だけで起きているのではない。                             (敬称略)

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