日ハムが網走で展開 ふん尿を堆肥化⇒作物育て豚の餌に
ハム・ソ-セ-ジ゛、最大手の日本ハムが網走 市で展開する大規模な循環型農業か広がりをみ せている。これまでは自社農場から出る大量の 豚のふん尿を有機肥料化し農家に販売する事業 が中心だったが、今年から自社農場で、有機肥 料を使った飼料用作物栽培も本格的に開始。農 場で豚の餌をつくる「自己完結型」の循環農業を 目標としている。
同市豊郷の丘陵地帯。日ハムの養豚子会社、インタ-ファ-ム(青 森)の知床事業所は、50㌶の敷地を有し、道内有数の年間5万5千 頭以上の豚を出荷している。ここの豚のふん尿からつくられる有機肥 料が、道内の農家の間で評判を呼ぶ。網走市内の農家、金沢尚秀さ ん(58)は「キャベツなど生で食べる野菜では、何とも言えない甘み が出る」と語る。同事業所では、25年前の設立時からふん尿の再資 源化に取り組んできた。豚舎から出るふん尿は1日360㌧。農場を歩 くと巨大な水槽がいくつもあらわれ、ふん尿を固形のふんと液状の尿 に分離。分離された固形分は、数十日間発酵させて堆肥化する。ふ ん尿から固形分の有機肥料を年8百㌧、液体肥料を7万㌧つくり、網 走、釧路などの230戸に販売。1340㌶の農地でジャガイモ、ニンジ ン、ダイコンなどの作物が栽培されている。道立畜産試験場(十勝管 内新得町)は「これだけ多くの農家に販売する例は道内ではほかにな いのでは」という。知床事業所はさらに循環農業を一歩進める。これ までタマネギを栽培していた農場内の12㌶の畑で、今年から有機肥 料を使った飼料用トウモロコシや小麦などの栽培を本格的に開始。今 後は畑の面積を徐々に広げる計画だ。豚のふん尿が肥料となり、そ の肥料で作物を育て、豚の餌にする-。事業所内でのリサイクルを 目指す。背景には餌代の高騰もある。松田倉知・環境部部長は「餌 の一割、二割でも自給したい」と語る。ふん尿から精製されるメタンガ スの有効利用も進める考えだ。同様の試みは、道内に広がる。回転 ずし「トリトリ」を展開する北一食品(北見)のグル-プ会社も石狩市厚 田区の養豚場で、約3千頭の豚のふん尿を堆肥化。地元農家がそれ を活用して野菜を栽培する地元完結型の循環型農業が行われている。 酪農学園大(江別)の干場信司教授(家畜管理学)は循環型農業につ いて「環境対策と安心・安全な農作物を増やす効果がある。大半を輸 入肥料に頼る豚の餌も日ハムのように少しずつ自給すれば、食糧自 給率向上につながる」と意義を語る。
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