札医大など発見<白血病に有効>
抗がん剤の効果を劇的に高める物質を札幌医大第四内科の新津 洋司郎教授と松永卓也講師、東京理科大薬学部の深井文雄教授 らの研究グル-プが発見した。特に急性骨髄性白血病に有効で、 製薬会社に協力を求め、実用化を目指す。研究成果は近く発売さ れる英国の医学専門誌「リュ-ケミア」で発表する。 発見した物質は「FNⅢ14」というペプチド(アミノ酸がつながった化 合物)。白血病は血液のがんで、抗がん剤投与や骨髄移植などの 治療法があるが、再発率も高い。抗がん剤を使っても、骨髄内に残 る白血病細胞の生存を助けるストロ-マ細胞が接着すると効きが 悪くなる。新津教授と松永講師らは2003年に両細胞を接着させる のは、VLA4とファイブロネクチンという2つのタンパク質であることを 突き止めている。今回、急性骨髄性白血病を発症させたマウス6匹 に抗がん剤とFNⅢ14を投与したところ、抗がん剤だけの白血病マ ウス6匹が死んだにもかかわらず、すべて生き残った。FNⅢ14は 両タンパク質の接着を妨げ、抗がん剤の効果を高める働きをしてい るという。札医大の調査によると、抗がん剤治療後の白血病の再発 はVLA4の有無によって影響を受け、治療後十年間、生存している 患者にはVLA4がないという。このため、研究グル-プは人間にFN Ⅲ14を使うと、VLA4の働きを無力化させ、患者の生存率を向上で きるとみている。松永講師は「急性骨髄性血病の再発原因を調べる 中で分かった。この物質を使えば、将来、負担の多い骨髄移植が不 要になる可能性もあり、患者にとって優しい治療になる。他のがんへ の応用も可能だ」と話している。
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