10代の性・増える心の疾患 友達感覚、目立つ無関心
北海道思春期教育ネットワ-ク世話人代表の藤井美穂・時計台記 念病院女性総合診療センタ-長が、道教委主催の性教育・薬物乱 用防止教育研究協議会で「十代の性にかかわる現状と課題」をテ- マに講演し、母子関係の変容により思春期の診療内科疾患が増え ていると報告した。講演の概要を紹介する。道内に思春期外来がで き始めた20年前は、染色体異常や月経異常など身体に関するもの が多かったが、最近はひきこもりや不登校、リストカット(手首を切る 自傷行為)、昼夜逆転など心療内科疾患がほとんどだ。その原因に 家庭関係の変容がある。家庭における父親不在はずっと続いている が、母親象が変わった。母子が互いに独立した存在という認識が持 てず、友達同士のように接する「母子不分離」と母親の家庭放棄だ。 思春期だけでなく20代、30代でも増えているリストカットも母子不 分離が関係している。親離れに対する不安は、幼児期に誰もが経験 するが、母親が十分に愛情を注ぎ子供に安心感を与えることで解消 されていく。しかしそれを卒業できていないと友人や恋人に一体感を 求め、その愛情対象が失われるとリストカットに走る。不登校・ひきこ もりでも、母親が「苦しいければ学校に行かなくていいよ」と言う。子供 は家で元気にしているからいいと言うが、何をしているか聞くと「テレビ ゲ-ム」。将来は自立しなければならないという発想が抜け落ちてい る。家庭放棄では、娘が妊娠しても病院に来ないか、来ても今後どう するかについて無関心。夫にも「私からは言えない」と相談しない。 子供たちではなく親が成熟しちいない。15年ほど前、体外受精に成 功した女性から中絶したいと言われたことがある。理由は「妊娠できる 体であることを証明したかっただけ。子供はいらない」。説得して出産 に至ったが、育児はうまくいったのか、今でも気になる。
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