「対話」の力演劇で子供に
NHK教育テレビで土曜に放映中の番組「となりの子育て」で月1回、女優の浅野温子さんと著名人の親を訪ね、子育て経験について話を聞いている。東京出身の46歳。オリザは本名で、ラテン語で「稲」を意味する。「食いはぐれないように」とシナリオライタ-の父親が付けた。名前からも分かるように自身の育ちもかなりユニ-クだ。「両親の教えは『他人と同じではダメ』でした」と振り返る。2、3歳れかで、父親から書く訓練を受け、「物心ついた時から書くことを仕事にと決めていた」少年は、外国へのあこか゛れから、13歳で自転車で旅することを決意。手始めに中3の夏に、稚内から北見、帯広を経て札幌まで走破。高校はあえて定時制を選び、住み込みで新聞配達しながら旅費をためた。16歳で高校を休学し、1年半かけて欧州、アジア、北米を回った。日本に戻り「思考を深めよう」と当時の大学入学資格検定試験を受け、国際基督教大に進む。旅行記と受験体験記2冊を著した経験から「自己表現にはフィクションの方が向いている」と演劇に興味を抱き、在学中の1983年に同級生らと劇団を立ち上げる。周囲は就職や大学院進学を勧めたが、「演劇を続ける」道を選び、父親が自宅を改装してった劇場を引き継ぐ。建設費などで、23歳で1億2千万円の負債を抱え「20代はそれ(返済)だけ。人生あきらめました」。運営を軌道に乗せる努力の傍ら、西洋演劇を基盤に発展した従来の芝居への違和感から「リアルな演劇」を提唱。客席に背を向けてせりふを発し、複数の会話が同時進行する手法を編み出し、95年に演劇界の芥川賞とされる岸田国士戯曲賞を受ける。他と違う生き方を選んできたから「30代までは他人とうまくコミュニケ-ションがとれず、生きづらかった」と語る。「集団で一つのものをつくり上げる」演劇を通して、異なる価値観の人が接点を見いだし、互いに認め合う「対話」の力をはぐくもうと情熱を注ぐ。「日本のすべての子に学校で演劇を体験させたい」と意欲をにじませた。
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