腸疾患や薬・・・原因さまざま=樽見 研
お尻から血液が排出されることを下血と呼んでいます。下血をきたす病気として、これまで痔の病気や大腸ポリ-プ、大腸がんについてお話してきましたが、その他にもさまざまな大腸の病気が下血の原因になります。高齢者に増加しているのが大腸憩室出血です。大腸憩室は壁の一部が突き出して袋状になった状態で珍しいものではなく、70歳以上の高齢者でこは50%以上の頻度で存在していると言われていますが、その憩室から出血すると何の前兆もなく突然大量に下血します。最近脳梗塞や心筋梗塞などの予防、治療のために抗血小板剤、抗凝固剤を服用している方が多いため増加傾向にあります。突然の腹痛の後に下血した場合は虚血性大腸炎が考えられます。大腸粘膜の血流障害が病態であり、動脈硬化の他、便秘やストレスによる大腸のぜん動運動の高進が゛原因となります。若年者が下血した場合は玖ロ-ン病や潰瘍性大腸炎といった炎症性腸疾患の可能性があります。特に潰瘍性大腸炎は肛門に隣接した直腸に炎症か゛あるため、排便時にボタボタと鮮血がしたたり落ちるような内痔核に似た下血の仕方をします。細菌感染による胃腸炎も、一部の細菌は大腸に炎症を及ぼし下血の原因とります。カンピロバクタ-腸炎、サルモネラ腸炎、O157による出血性大腸菌腸炎、アメ-バ赤痢などが代表例です。服用している薬が下血の原因になることもあります。抗生物質を服用して数日後に下痢を伴って下血した場合、抗生物質が大腸炎を引き起こしている可能性があります。また消炎鎮痛剤を長期間服用していると大腸に潰瘍ができて下血することもあります。(札幌いしやま病院副院長)
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