青少年「食べて運動“骨の貯金”を」 中高年「骨密度知って対策講じて」
骨の強度が低下して折れやすくなる骨粗しょう 症。閉経後の女性やお年寄りに多く、国内患者 は推計1千万人以上とも言われる。先月下旬、 天皇陛下が前立腺がんのホルモン治療の副作 用で同症になる可能性があると、発表されたが、どんな病気なのか、 専門医に聞いた。骨も体の他の部分同様、新陳代謝で絶えず古い 骨が壊され、新しい骨がつくられる。だが栄養不足やホルモンの変 化などでこのバランスが崩れ、つくる量より壊す量が多くなると、骨 量(骨密度)が減り、骨の室が低下し、同症となる。「70歳で女性の 40%、男性の13%がこの病気。患者の割合は高血圧や糖尿病と 変わらない。骨量が減るだけでは、自覚症状があまりない」と話す のは、札幌清田整形外科病院(札幌市清田区)の副院長、片平弦 一郎さん(52)だ。だが同症でお年寄りが骨折すると「日常生活の不 便だけでなく、内臓障害や認知症などを引き起こしたり、寝たきりの 要因になる。時には命にもかかわる」と指摘する。骨量は通常、10 代後半あたりで頂点に達し、その後一定の値を維持した後、年齢と ともに減少する。特に女性は閉経後、骨が壊れるのを抑える働きを するホルモンが減る。同症の検査は、この骨量を測る骨密度測定が 中心になる。最新の「骨粗鬆の予防と治療ガイドライン」(専門家でつ くる同ガイドライン作成委員会が編集。ライフサイエンス出版刊、220 5円)では、骨密度が健康な若い人(20~44歳)の平均値に対し、 80%以上は正常、80~70%は減少に要注意、70%未満を骨粗し ょう症と診断する。骨が弱くなり軽い力で骨折した場合には70%未 満でなくても同症と診断する。
どんな人がなりやすいのか-。片平さんによると、 高齢や閉経後の女性のほか、やせて小柄、家族 に同症の人がいる、運動量が少ない、カルシウム 摂取が少ない、アルコ-ルやコ-ヒ-の多飲、た ばこをたくさん吸う、胃腸や婦人科の手術歴、糖尿 病や甲状腺の病気など。もちろん変えられるもの を改善すれば予防に結びつく。治療は、骨を丈夫にする栄養や運動の 指導、薬物療法やリハビリ。骨折した場合は手術などがある。「最近 は骨量を維持したり、増やすことで、骨折を防ぐ効果的な薬もある」と いう。宮内庁などによると、天皇陛下は骨密度低下を防ぐために、ほ ぼ毎日運動する必要があり、御所には水中歩行器も用意された。「骨 粗しょう症は、日ごろからの予防が一番」と説く片平さんは、予防法と して転倒や骨折を防ぐ運動と、骨づくりの栄養を挙げた。運動は、体力 や体の状態に合わせた無理のないものなら何でもよいという。手軽な のはウォ-キング。家事で体を動かすのもいい。栄養は「カルシウムと、 カルシウムの吸収を助けるビタミンD、骨を強くするビタミンKの摂取が 大切。ビタミンDには転倒抑制の効果もある」。カルシウムは牛乳・乳 製品、大豆製品、小魚などに多く含まれている=図参照=。片平さん は「骨量が増える青少年期にバランスよく食べ、よく体を動かし、“骨 の貯金”を。中高年は自分の骨密度を知って、維持や減少を抑える対 策を講じよう」と呼びかけている。
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