カシュ-ナッツから抽出<温暖化・病気対策に光> 北大大学院・出光チ-ム発見
カシュ-ナッツの殻から抽出した植物油などを飼料に混ぜると、地 球温暖化をもたらす温室効果ガスの一つで、主に牛のげっぷとして 排出されるメタンの発生量を9割減らせるという研究成果を、出光興 産(東京)と北大大学院農学研究院の家畜栄養学研究室(小林泰 男教授)の共同研究チ-ムがまとめた。飼料のエネルギ-効率の高 まりで飼料の削減や病気予防にも効果が期待できるという。 出光は十数年前から酪農家向け微生物技術を応用した補助飼料の 研究を各大学と進めている。牛の病気の一つで、胃の中にガスがた まり、うまく排出できない鼓脹症と呼ばれる病気に対応するため昨 年4月から北大と共同研究を始めた。ヤシやオリ-ブなど数十種の 植物性油 を抽出、牛の胃液に当たるル-メン液をガラス容器に入 れて病原菌の増減を調べたところ、カシュ-ナッツの殻を砕いた植 物油の抑制が強かった。植物の葉に生息するシュ-ドザイマと呼ば れる酵母菌から分泌される液体も、同様の効果があった。ル-メン 液のネバネバ感が和らぐことでガスの発生が抑制され、メタンの発 生量はいずれも9割削減できたという。さらに、牛の胃の中で微生物 がブドウ糖を分解する際、プロピオン酸と呼ばれる脂肪酸が約25% 増加した。飼料をエネルギ-源に換える効率が高まるため、「飼料の 量を減らしても同等の効果が出る」(アグリバイオ事業部)という。出 光は、搬送しやすい粉末状にすることで、2011年度の商品化を目 指す。研究成果は27日に茨城県水戸市の常磐大学で行われる日 本畜産学会で北大側から発表される。メタンの抑制には従来、抗生 物質が使われていたため、小林教授は「天然物質での削減は画期 的ではないか」と話している。
メタン=京都議定書で排出削減が義務付けられている温室効果ガス の6種のうちの一つ。ガス排出量の割合は全体の2%だが、二酸化 炭素の21倍の温室効果がある。排出源は、牛のげっぷをはじめ、廃 棄物埋め立て処分状や水田の土壌など多岐にわたる。
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