ふん中で生きる抵抗力=薬剤耐性菌へ効果期待
ふんや堆肥の中で生きる虫が、病原菌の繁殖 する環境でも平気でいられるのはなぜか-。 そんな疑問からスタ-トした研究が、次々と現れ るメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)など の薬剤耐性菌と人間のいたちごっこに終止符を 打つのでは、として注目されている。MRSAは 特効薬とされた抗生物質「バンコマイシン」の耐 性菌も出現し、院内感染が繰り返されているのが現状。「収拾がつ かない。違う発想で現代医療のジレンマを解決できないか」と考えた 農業生物資源研究所の山川稔・生体防御研究ユニット長(昆虫免疫 学)は、沖縄や奄美大島で、山積みにされた牛や豚のふん中で育つ タイワンカブトムシの幼虫で、免疫機能を調べてみた。すると、細菌に 感染した幼虫は、体内で菌を攻撃するタンパク質を分泌していること が判明、このタンパク質の断片であるペプチドが、細菌に対抗してい ることを突き止めた。同じ構造、性質のペプチドを作り、既存の抗生 物質と併せて使うと細菌は耐性を獲得せず、薬の効き目が維持され るということも分かってきたという。山川さんは「まだ実験室レベルだ が見通しは明るい。ただ、幼虫を掘り返すのはとにかく暑くて臭かっ た」と笑う。
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