間隔狭まると筋肉収縮
筋肉が収縮する源は、1本1本の細長い筋原線維に規則正しく並ん でいる横紋と呼ぶ横縞模様にある、というところで前回終わりました。 今回は、この横縞の正体としくみを解き明かしましょう。筋原線維は、 「フィラメント」と呼ぶ、さらに細いたくさんのタンパク質の線維が縦に 束となつてできています。フィラメントには「太い」ものと「細い」もの、 二種類あります。横縞が見える部分は「太い」フィラメントが縦に積み 重なって、帯状になっている場所です。ここではさらに「太い」のと「細 い」二種類のフィラメントが交互に重なっています。縞と縞の間は、縞 の部分から連なっている「細い」フィラメントしかありません。ですから 色が薄く見えるというわけです。ところで、筋肉が縮むときは、この縞 と縞との間隔が狭くなります。筋肉が刺激を受けると、「太い」フィラメ ントから出ている<ひげ>が、隣接する「細い」フィラメントにくっついて、 縞がある部分へ引っ張ろうとします。しかし、「細い」フィラメントは、両 隣の「太い」フィラメントから同時に引っ張られるので動かず、むしろ両 隣の「太い」フィラメント同士の距離が近くなり、これで縞の間隔が狭く なるのです。こうしたしくみで、筋肉は縮みます。でも、もとのタンパク 質(二種類のフィラメント)自体は縮まりません。この現象は、二種類 のフィラメントを用意さえすれば、試験管の中でも再現することができ ます。「筋肉が縮む」という体の中の不思議な現象が、科学の力で解 明されているんです。ちょっと感動しませんか?。 (とうせ・のりつぐ=札医大医学部長)
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