京大研究所作製
人の皮膚から、さまざまな細胞に成長できる万 能性をもつ「人工多能性幹細胞(iPS細胞)」を 世界で初めてつくった京都大再生医科学研究 所の山中伸弥教授らが、作製法を改良し、より 安全なiPS細胞を得ることに成功、米科学誌ネ イチャ-バイオテクノロジ-電子版に三十日付 けで発表した。これまでは、がん遺伝子を含む 計四つの遺伝子を皮膚細胞に組み込んでいた が、がん遺伝子を除く三つの遺伝子でもできる ことを確認した。人体に有害な恐れがあるウイル スは依然として使っているが、安全性をめぐる問題の一つが解決 できたことで、傷んだ組織を修復する再生医療の実用に向け前進し た。山中教授は「ゴ-ルは先だか゛、一歩一歩着実に前進している」 と話し、今後は細胞作製の効率をいかに向上させるかが課題だとし ている。教授らは成人女性の顔から採った皮膚と、マウスの皮膚で、 それぞれiPS細胞をつくった。マウス実験によると、三つの遺伝子を 組み込む改良法では、iPS細胞ができるまでの日数が2~3週間と、 従来法の倍以上かかり、細胞の量も大幅に少なくなった。がんの危 険性を比較するため、従来法と改良法でつくったマウスのiPS細胞を、 それぞれ別の受精卵の中に入れ、赤ちゃんマウスを誕生させた。す ると、がん遺伝子入りの細胞を持つマウスは三十七匹のうち六匹が (16%)ががんになり、生まれて百日以内に死んだが、がん遺伝子 なしの二十六匹は、同期間内に一匹も死なず、安全性がより高いこ とが確認された。
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