過剰な免疫反応を抑制
花粉症、アトピ-性皮膚炎、ぜんそくなど、アレルギ-反応に基づく 病気であるアレルギ-性疾患が増えています。アレルギ-反応と は、本来病原体などから体を守るためのしくみである免疫反応が過 剰に起きてしまい、からだそのものに害を及ぼしてしまった状態のこ とです。アレルギ-疾患の症状を抑えるには、過剰な免疫反応を抑 制するのが手っ取り早い方法です。よく使われる薬に、人がもともと 持っているホルモンを参考にしてつくられたステロイド薬があります。 参考にしたホルモンは、腎臓の上にチョコンと乗っかっている、副腎 という臓器から分泌される、副腎皮質ホルモンです。このホルモンの 本来の役割は、からだの主要なエネルギ-源である糖分を体内で有 効に利用させることです。もし糖分が不足のときは、脂肪やアミノ酸 から新たに糖分をつくりだす、とても重要な仕事をしています。このホ ルモンを、動物から抽出し濃縮してヒトに与えると、免疫反応を抑制す ることが分かり、一躍、薬として注目されるようになったのです。この ホルモンの基礎になる化学構造をステロイドと呼ぶので、このホルモ ンを基に人工的につくった薬をステロイド薬と呼ぶのです。でも、免疫 反応自体はヒトに必要不可欠なものですから、それを抑制するホルモ ンが体にあるというのは理屈に合いません。実際、副腎皮質ホルモン は普段はそんな作用はしていないようです。免疫抑制作用は、薬とし て多量に使用されたときのみの作用ですので、ステロイド薬の使いす ぎには注意が必要です。(とうせ・のりつぐ=札医大医学部長)
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