ばぶちの仕事しながら司法試験を突破し弁護士になりました

仕事をしながら司法試験に合格したばぶち(babuchi)の試験勉強記録+その後です。

無権代理人を本人が相続

2009年08月20日 00時16分00秒 | 民法
基本的な問題ですが、深いです。

色々理解しました。



無権代理人を本人が相続した場合

本人は無権代理人の地位と本人の地位を併存する。
∵相続という偶然の事情によって無権代理行為が当然有効とすることは、本人に酷。
∵相手方の取消権を一方的に奪うべきでない。

本人が追認を拒絶することも信義則に反せず、
本人に無権代理行為の効果が帰属せず無効に確定。

しかし、本人は無権代理人の地位も有するため、無権代理行為の責任を追及される(117条1項)。


これは、履行又は損害賠償が可能。

判例は、相手方が履行を請求した場合、本人は追認拒絶をしても履行が強制されるとする。

しかし、この事例は保証債務であるため、このような金銭債務の時は、
履行も損害賠償も金銭債務であり、異ならないが、
特定物給付義務の場合には、本人が拒めるとすべき。

そうしないと、本人に追認拒絶を認めた意味が失われる。

特定物給付義務の場合は、相手方の無権代理行為への責任追及は、損害賠償請求ができるにとどまると解する。







本人を無権代理人が相続した場合

こちらは、逆の場合で、無権代理行為は当然有効になるとするのが判例です。

しかし、この理由付けとして、地位が融合するのではなく、地位が併存することを前提に、
無権代理人は信義則上、本人の地位に基づいて追認を拒絶することができないとしています。


よって、判例はどちらの場合も、地位併存説を採っているようです。