事例から刑法を考えるをやり終えました。
本当に疲れる問題集でした。
明らかに新司法試験を超えている問題や解説が多々あります。
著者の要求するレベルがものすごく高い。
ただ、私は今まで刑法は判例を徹底してやってきていませんでした。旧司時代の刑法短答を知っている方なら判例より学説が重要というのはよく知っているかと思います。
しかし、予備試験、新司法試験の短答は判例が重要なキーになりますし、判例を知らずして短答では点が伸びません。
何となくの知識しかなかったのですが、この問題集をこなしていくうちに刑法判例百選、山口厚教授の刑法総論、各論をかなり読み込みました。
特に山口厚教授の刑法総論、各論は問題集とリンクする部分がかなりあり、理解が深まりました。
しかし、パチンコの体感器の問題とかは鬼ですね。山口厚教授の本にも載っていませんし、判例百選にも載っていません。
しかし、重要だということで、解説を何度も読みました。
パチスロのメダルを体感器で取得すると、いつが既遂かというのは深い洞察力が必要です。
この本で理解力が深まった分野は、
被害者の同意
不法領得の意思
横領と背任の区別
共犯
住居侵入
過失
です。
これらの分野に苦手意識がある人は読むことで理解が深まると思います。
ただ、生半可な知識では混乱するおそれがあるので、旧司短答ぐらいの学説の錯綜具合を知っている方でなければおススメできません。
こちらの方が全部の問題について参考答案を作ってらっしゃいます。
非常に参考になりました。
平成23年度合格者
工藤講師もあまりおススメしていませんでした…。
工藤講師のブログ
むしろこちらをススメています。
ロースクール演習 刑法
本当に疲れる問題集でした。
明らかに新司法試験を超えている問題や解説が多々あります。
著者の要求するレベルがものすごく高い。
ただ、私は今まで刑法は判例を徹底してやってきていませんでした。旧司時代の刑法短答を知っている方なら判例より学説が重要というのはよく知っているかと思います。
しかし、予備試験、新司法試験の短答は判例が重要なキーになりますし、判例を知らずして短答では点が伸びません。
何となくの知識しかなかったのですが、この問題集をこなしていくうちに刑法判例百選、山口厚教授の刑法総論、各論をかなり読み込みました。
特に山口厚教授の刑法総論、各論は問題集とリンクする部分がかなりあり、理解が深まりました。
しかし、パチンコの体感器の問題とかは鬼ですね。山口厚教授の本にも載っていませんし、判例百選にも載っていません。
しかし、重要だということで、解説を何度も読みました。
パチスロのメダルを体感器で取得すると、いつが既遂かというのは深い洞察力が必要です。
この本で理解力が深まった分野は、
被害者の同意
不法領得の意思
横領と背任の区別
共犯
住居侵入
過失
です。
これらの分野に苦手意識がある人は読むことで理解が深まると思います。
ただ、生半可な知識では混乱するおそれがあるので、旧司短答ぐらいの学説の錯綜具合を知っている方でなければおススメできません。
こちらの方が全部の問題について参考答案を作ってらっしゃいます。
非常に参考になりました。
平成23年度合格者
工藤講師もあまりおススメしていませんでした…。
工藤講師のブログ
むしろこちらをススメています。
ロースクール演習 刑法
共同正犯の事案で、両者に緊急避難が成立するのは、検討を慎重にしなければならなさそうです。
緊急避難の要件に正当防衛と異なり、補充性と法益権衡が要求されているからです。
甲と乙は並んで街を歩いていた。
前から車が暴走してきた。
左側は空き地であり、右にベビーカーを引いた親子がいたので、甲は左の空き地によければ大丈夫と思っており、客観的に左の空き地に避ければ問題なかったが、乙は甲よりも右側にいたため、空き地に避けるのでは間に合わなかった。
そして、乙が右によけろと言ったので、甲と乙はとっさに親Aとベビーカーに乗っていた赤ちゃんBを突き飛ばして難を逃れた。
親子ABは骨折などの傷害を負った。
共同正犯の場合、違法性阻却事由は個別に考えると、甲には左によければ大丈夫と思っており、実際にも左側に空き地がありやむを得ずにしたとはいえず補充性が認められない。そのため、親子ABに対する傷害罪が成立する。
一方、乙は空き地に逃げられず右にしか避けられないため緊急避難により不可罰になります。
はたしてこれは妥当なんでしょうか。
補充性の要件を緩めて、やむを得ずというのは、とっさになされるものなので、別の回避方法があってそれを思っていても、他方の共同正犯かつ緊急避難者が別の回避方法がないと判断したならば、全体として補充性は満たされる、とかでしょうか?
不自然ですね。
なので、甲は補充性がなくても過剰避難が成立するとしかない気がします。
この補充性がないなら過剰避難は成立しないとする考えもあり、これを採用するなら、やはり甲は傷害罪2罪(観念的競合)が成立してしまいます。
緊急避難の要件に正当防衛と異なり、補充性と法益権衡が要求されているからです。
甲と乙は並んで街を歩いていた。
前から車が暴走してきた。
左側は空き地であり、右にベビーカーを引いた親子がいたので、甲は左の空き地によければ大丈夫と思っており、客観的に左の空き地に避ければ問題なかったが、乙は甲よりも右側にいたため、空き地に避けるのでは間に合わなかった。
そして、乙が右によけろと言ったので、甲と乙はとっさに親Aとベビーカーに乗っていた赤ちゃんBを突き飛ばして難を逃れた。
親子ABは骨折などの傷害を負った。
共同正犯の場合、違法性阻却事由は個別に考えると、甲には左によければ大丈夫と思っており、実際にも左側に空き地がありやむを得ずにしたとはいえず補充性が認められない。そのため、親子ABに対する傷害罪が成立する。
一方、乙は空き地に逃げられず右にしか避けられないため緊急避難により不可罰になります。
はたしてこれは妥当なんでしょうか。
補充性の要件を緩めて、やむを得ずというのは、とっさになされるものなので、別の回避方法があってそれを思っていても、他方の共同正犯かつ緊急避難者が別の回避方法がないと判断したならば、全体として補充性は満たされる、とかでしょうか?
不自然ですね。
なので、甲は補充性がなくても過剰避難が成立するとしかない気がします。
この補充性がないなら過剰避難は成立しないとする考えもあり、これを採用するなら、やはり甲は傷害罪2罪(観念的競合)が成立してしまいます。