ばぶちの仕事しながら司法試験を突破し弁護士になりました

仕事をしながら司法試験に合格したばぶち(babuchi)の試験勉強記録+その後です。

私人間効力

2012年10月13日 23時43分04秒 | 憲法
私人間に関する問題について、間接適用だから、とするのは危険です。


判例の三菱樹脂事件では、

憲法の人権規定は専ら国又は公共団体と個人との関係を規律するものであり、私人相互の関係を直接規律することを予定するものではない。

私人間においては、原則私的自治に委ねられ、侵害の態様、程度が社会的に許容し得る限界を超えるときは、民法1条、90条や不法行為に関する諸規定等によって適切な調整を図ること。

と判断しています。



この、社会的に許容し得る限界を超えるときに、間接適用することを規範としているため、この一定の限界を超えるかどうかを判断する必要があります。


私人間の対象となっている一方の存在の意義や、侵害されている権利の態様、程度が考慮される必要があると思います。


例えば、スーパーの会員権と、ゴルフの会員権ではその私人間の一方の役割、存在意義が異なる場合もありそうです。

過失

2012年10月13日 22時35分51秒 | 刑法
過失はいろいろとややこしい。

つらつらと書いてみます。


過失は、注意義務違反のことであり、結果予見可能性を前提とした結果回避義務違反をいうと考える。

過失には、
結果予見可能性+結果予見義務違反

結果回避可能性+結果回避義務違反
の双方を満たす必要があり、前者は責任要素、後者は構成要件該当性の問題になる。

構成要件該当性の問題より先に責任要素を検討するのは不思議な気もします。





過失と結果との因果関係は、結果回避可能性の問題に吸収されると考えられます。

結果を回避する可能性がない場合には、因果関係は否定されるし、結果を回避する可能性があり義務に違反したならば、結果との因果関係は肯定されるからです。


このように構成要件該当性としての結果回避義務違反には、結果との因果関係も含めて考慮されているといえそうです。





信頼の原則
適切な行動に出ることを信頼することが不相当な事情がないならば、これを前提にした行為をすればよい。


自分が不法な行為をしていた場合でもこれは信頼の原則は否定されない(失効の原理の排除)。


自分が交通違反をしていても、信頼の原則は否定されないが、信頼することが不相当ならば、信頼の原則は否定される。





予見可能性は、結果回避可能性が認められる前提である。

しかし、結果を回避しえなかった可能性がある場合、過失を基礎付ける責任要素としての予見可能性は認められない、ということもあるのでしょうか。


暗い夜道で黒い服を着て、自転車のライトも消していたため、人を轢いた事案

この場合、結果回避可能性が無かったという前提に、自転車を認識できなかったという結果予見可能性もなといえる。





整備不良の自動車を運転し、人を轢いた。

整備されていれば制動距離が短く、人を轢く手前で止まれた。

整備不良自体に結果予見可能性と結果回避義務違反があるのか。

万一の事故、事態は結果予見可能性を肯定するかという問題。


危惧感説になるから妥当ではないのではないか。


きちんと整備されていれば人の死傷は避けられたといえ、整備不良の自動車を運転していれば、人の死傷結果が生じることは容易に予見可能であるから、結果予見可能性が認められる。

親族相盗例

2012年10月13日 11時04分43秒 | 刑法
親族相盗例(244条)は、一身的処罰阻却事由を定めたものと解すべきです。

これは、法は家庭に入らずの格言から規定されたといえ、親族間の紛争に国家権力の介入を控えるべきであるからです。

この規定の趣旨から、財産罪の対象物の所有者、占有者ともに親族の物でなければなりません。親族の物ではなければ親族間の問題ではなくなるからです。

とすると、これを誤信して他人の物を盗った親族に対しては、親族相盗例の適用も故意や責任を否定することもできない。
このような事情は量刑にて考慮されるべきと考えます。


確かに、親族相盗例を知って盗っても罪にならないと考えて盗ったのに、所有者は別の者であった場合に、故意が否定されるとも考えられなくもありません(この考え方もあるようです)。

しかし、政策的に処罰しないとしているのであって、責任や違法性が減少するから処罰しないとしているわけではないため、故意や責任は否定されません。

予備試験

2012年10月11日 08時52分21秒 | その他
今日は予備試験の合格発表日です。

合格した方は手続を一生懸命やってください。


刑事手続は、捜査なら逮捕の部分の規則、弁護人の役割、公訴なら立証趣旨や異議、訴因変更のところをしっかりやるといいと思います。

民事手続は、問題研究の要件事実を理解及び暗記、証人や時機に遅れた攻撃防御、自白などをしっかりとやるといいと思います。
仮処分も暗記して下さい。

去年は刑事手続で弁護士倫理が出ました。

予備校の模擬面接やネット公開講座などで鍛えて下さい。

これだけやれば、去年弁護士倫理で失敗しましたが大丈夫でした。


以下は口述試験情報です。

場所は東京のみです。
午前と午後の方がいると思いますが、午後の方は午前の方と集合時間が重なりますので午前の方の話は聞けません。

また、午前の部で早く終わっても終了の昼過ぎまで1時間以上待たされました。

携帯は禁止ですので何か時間潰しができる本とか漫画とかを持って行くといいと思います。


どちらも誘導がありますので、間違っているなと思ったら自分の意見を通さないこと、質問にきちんと答えること、が重要です。

審査基準

2012年10月08日 02時25分01秒 | 憲法
憲法の審査基準論は複雑です。

基準に至るまでの過程は、権利を制約している程度、態様、権利の性質、程度等により決めるべきであり、ここには反対利益を入れてはいけないとするのが、正しいそうです。


制約される権利の内容とか、制約の度合いが強いなら、基準は厳格に、弱いならそれほど権利を厚くは保護しなくてよく、立法府を尊重すべきであるから、基準は緩やかにすべきである。

反対利益は当て嵌めの時に使用することを忘れてはいけません。

合併比率の不公正による無効主張

2012年10月03日 23時35分21秒 | 商法
会社法において、合併無効の訴えの無効原因は明文無く重大な瑕疵に限定されると解されています。

そして、合併比率の不公正は判例では、無効原因にはならないとされています。


しかし、この判例には例外を認めるべきとされています。


すなわち、合併比率の承認決議時に当該存続会社の議決権を有する株主が、当該消滅会社の親会社であった場合、合併比率が不公正なら、著しく不当な決議がされたとして決議取消事由になります。

そして、決議取消がされた場合には、合併承認決議がないことになりますので、この場合には無効原因になると考えます。


もっともこの場合、決議取消と合併無効の訴えは提訴期間が異なります。

決議取消の提訴期間が3ヶ月以内と短期なのは、決議の早期確定に求められていることから、無効の訴え時に主張できるのは、決議の3ヶ月以内に限定されると考えます。

以上リークエP400参考。


さらに難しい問題として、無効主張をしない場合の取締役への責任追及です。


存続会社の株式を対価とした場合、存続会社は株式を発行しているだけであり財産の流出はなく、消滅会社の権利、資産、負債が全て存続会社に承継されるため、存続会社は損害が生じているとはいえず、任務懈怠責任が認められないとされます。


また、この場合株主は第三者責任の追及が考えられます。


株主は直接損害には第三者に含まれるが、間接損害には第三者に含まれず、株主代表責任追及によるべきと考えられています。


さて、合併比率が不公正の場合、そのために株式の経済的価値が下がったのであり、株主らは直接損害を被ったと考えられ、第三者に含まれるため、第三者責任を追及できることになります。



一方、存続会社が対価として金銭を支払った合併の場合、会社財産が流出しているため、会社は損害を被ったとされ、任務懈怠責任が認められ取締役らへの株主代表訴訟が認められます。

この場合、第三者責任は、株式の経済的価値の下落は会社財産の流出による損害であり、間接損害になることから第三者に株主は含まれず、株主代表訴訟によるべきことになります。



ものすごく複雑です。

器物損壊罪

2012年10月01日 22時48分27秒 | 刑法
刑法の演習書をやっているが、深い部分まで触れていました。



二人で金品を奪う目的で殺害、その後金品を奪った。
犯行発覚を恐れて腕時計を奪った。甲は乙に廃棄を依頼して去った。

依頼された乙は廃棄せずに後日質屋に売却。


廃棄をするために腕時計を奪った行為は何罪?



最初考えたのは、質屋に売ったから乙は遺失物等横領罪で、甲は抽象的事実の錯誤かと思ったが違うらしいです。

売った乙は詐欺罪。


持ち去った時に器物損壊罪が成立するか。


利用処分意思に欠けるから窃盗罪は成立しないか。

発覚を恐れて持ち去ったのは、利用処分意思とはいえないか。

経済用法に従った利用処分意思ならいえない。


また、器物損壊罪が成立すると、自己の犯罪の証拠の証拠隠滅は無罪との関係は?

保護法益が異なるから別問題。



遺失物等横領なら利欲犯であり責任が重いのに罪が軽く(1年以下)、器物損壊罪は効用を害したのに過ぎないが罪が重い(3年以下)のは不均衡ではないか。


器物損壊罪は、
占有侵害を伴う器物損壊と、
占有離脱物の損壊
が含まれ、占有を侵害し物の効用を害するのは遺失物等横領罪より不法が大きいが、占有離脱物の損壊は遺失物等横領罪の処断刑の上限は超えてはいけない。