黄昏が近づくとフクロウは飛び立つ準備を始めます。暗闇で木に激突。最近は夜目、遠目が効かなくなって来ました。
黄昏れたフクロウ
スパゲッティ・ミートソース教
2006-12-16 / 本
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神田の古書店街に、明倫館書店と言う自然科学系学術古書専門店があります。一階は科学一般で、地下が工学系と分かれています。ここに来るといつも地下に直行です、お目当ては真空管関係の書籍。その日はたまたま収穫ゼロでした。それで、ちょっと一階をぶらついてた時のことです。
?Es esto un libro? - Si, eso es un libro.
世界基準で、「本」は男性名詞と決まっているのです。その、なまめかしい声で、潜在意識の中に、土足で踏み込んでくるのは止めてください。それに「、、、下さらないかしら?」って、おばさんみたいな、ものの言いようも変です。「私をナンチャラに連れてって」も時代錯誤的ギャグでしょう。はあ?ターゲットに合わせってるって?失礼でしょう、失礼な奴だ。でも、まあ、買って上げましょう。
「種の起源」は1859年に英国のチャールズ・ダーウインが出版した、進化論に関する本です。彼は博物学者としてビーグル号に乗船し、世界一周の航海に参加し、観察の結果、種が独立に作られたもののではなく、自然淘汰の結果であると結論付けたのです。
これは、ミジンコのようなものが進化により、時間をかけてカブトガニのようなものになり、これがまた時間をかけてワニのようなものになり、さらにネズミのようなものになり、サルのようなものになり、そして人間になったと言う説です。学校で必ず習ったと思います。
この進化論は、神による創造説を採る宗教にとっては受け入れがたいものでした。たとえばキリスト教によれば、この世は動植物も含め全て、神によって7日間で作られたことになっています。「種の起源」が出版され、教会との間で激しい論争が始まりました。
「種の起源」は6版が最終版になっています。この論争による影響に興味があったので、初版を読んでみたかったのです。それまで読んでいたのは岩波文庫の八杉龍一訳の上下2巻本で800ページくらいの本です。この「初版『種の起源』」は200ページ位の薄い本です。初版の香りがします。
読み始めると、訳文、つまり日本語表現が違うので、オリジナルがどう違っているのかよく分かりません。それにしても殆ど変わっていない。
よくよく調べて分かったことが、それまで読んでいた岩波文庫版も第一版をテキストとしていることでした。そこに6版までの改変部分を、注釈や付録で説明しているから厚かったのですね。飛ばし読みをしているから、全体像を把握していないと言う、とほほな結果になりました。無駄な買い物でした。
この進化論の教育が米国では問題になっています。自然淘汰による進化論など仮説に過ぎない。公立学校で進化論を教えるのなら、インテリジェント・デザイン説も同時に教えるべきだとアメリカ・カンザス州で議論になっています。
ジョージ・ブッシュ大統領も支持している、インテリジェント・デザイン説について聞いたことがありますか?簡単に言うと、知性有る設計者が生物を創造したというものです。神と言う言葉を避け、科学的な装いをしています。
さすがに、米国の科学者はこれに反対しています。その中でもユニークな運動が「空飛ぶスパゲッティ・モンスター教団」です。インテリジェント・デザイン説が正しいと証明できるなら、スパゲッティ・モンスターが人類を創造した事実も証明できる。進化論とインテリジェント・デザイン説と同時にスパゲッティ・モンスター説も学校で教えるべきであるとの裁判を起こしました。
すぐそばから退屈そうな声が聞こえます。「私、体育会系だから、進化論とか言われてもよく分からないけど、150年前の本の1版と6版の違いを調べるより、この150年間で進化論がどう変わったかを調べたほうが面白いんじゃないの?」時々、本質を突いた発言をしますねえ、それはそのとおりです。でも、今はダーウインと教会の関係について、、えっ、時間の無駄だって?、、、他に楽しいことが無いのか、といわれてもねえ、、、、お昼はスパゲッティ・ミートソースにしましょ。
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