じゃじゃーん!この人たちは誰でしょう?そうです。元メジャーリーガー3人衆!
昨日、メジャーリーグで活躍した3人の元選手たちが、ハーパー・カレッジの「アメリカ野球の歴史」のクラスに来て、白熱した話をしてくれた。
私が、クラスに着くと、いきなり年配の大柄の2人のアメリカ人が立っている。とても優しそうな笑みをたたえた背がひゃろりと高い人が、1973年から87年までプレーした、元レッドソックスのリリーフピッチャー、ビル・キャンベル。1977年にオールスターメンバーにも選ばれている。
もう1人の饒舌なユーモア溢れる熱血漢のアメリカ人は、1971年から80年までプレーした元ホワイト・ソックスの3塁手、エリック・ソダーホルム。ツインズ、ホワイトソックス、ヤンキースと渡り歩いている。
遅れて入ってきたアメリカ人は、カブスで有名なキャッチャー、ランディ・ハンドレイ。そんなに背は高くないが、元メジャーリーガーのオーラがでていて、なかなか貫禄がある。1964年にジャイアンツでデビューし、カブスには、1966年から73年と1976年から77年までいた。キャッチャーとして片手でキャッチングすることを父から教わり、60年代後半のカブスをささえた名キャッチャー。昔からのカブスファンなら、「ああ、ランディ・・」と知っているようだ。
なんせ、60年代から80年代のメジャーの話なので、残念ながら説明したくても、私にはちんぷんかんぷん。わかった部分だけをリポートすると・・・
冒頭で、球団オーナーの選手たちに対する横暴な年棒の決め方に、とくにランディが、「オーナーが、フェアなマーケットの価値を壊している!」と何回も訴えていた。フリーエージェントになったとたん、年棒7万5000ドルが50万ドルに跳ね上がった選手がいたという。とにかく、「Greedy(強欲)だ!」を連発していた。長年メジャーリーグでプレーしてきて、トレードも何回も味わうと、表も裏も見てしまうと、そういう思いも強くなるのだろう。
一番タフな相手は誰だったか?という学生からの質問では、エリックが、「ノーラン・ライアンだ!」ときっぱり。そのすさまじいスピードの速さが怖く、変化球のストンと落ちる長さがすごかったという。5714という奪三振記録を持つ「ライアン特急」と呼ばれて、みんなから恐れられた速球王だ。そうか、ノーラン・ライアンと対戦した人が話しているのか。となんだか不思議な感覚に襲われた。息子の話では、時速170キロ以上をだしていたというから、超人か。そんなピッチャーはもう2度と現れないだろう。
メジャーでは、精神的なプレッシャーと戦い、いかにいつも平常心をキープしていくかが成功の鍵だという。エリックが、1978年に2割4厘しか打てず、スランプにおちいった時、イリノイの病院で、白血病にかかっている子供たちとバスケットをしたときの話をしてくれた。「こんなことしていちゃいけないって、神様からおこられているじゃないかと思ったほどだよ。」それから、次の試合では、3安打を放ち、その年は2割5分8分まで打率を引き上げたという。
バリー・ボンズのステロイド問題にも話は及んだが、ランディは、「ボンズは1日5、6時間練習をするピュアな打者だ。」「ホームランを見たい!というファンの気持ちや球界全体の体質こそ考えたほうがいい。」と問題提起していた。
ランディは、メジャーを引退して、1983年からアリゾナで大人用の「ランディ・ハンドレイのオフィシャル・ビッグリーグベースボールキャンプ」を毎年行っている。さまざまな職業につく野球狂の大人たちが各地から集まってきて、メジャーリーガーのようなプレーをめざして、全力で野球を楽しむという。
最後に、元ピッチャーの優しそうなビルは、前もってサインをした自分のベースボールカードを一枚一枚私たち学生に配ってくれた。若き日のレッドソックス時代のちょっと古びたカードだ。1973年から76年までツインズでプレーし、その後80年までレッドソックスと裏に書かれている。防御率は3.32で、その当時の8年間で通算59勝39敗95セーブを上げている。
元メジャーリーガーは、ファンに配るため、昔の自分のベースボールカードを大量に持っているのだろうか。メジャーリーガーとは、引退してもその栄光のために、一生カードがみんなに喜ばれるという幸運な職業だ。息子が何年か前に一度受けたピッチングクリニックで、ジム・メッシーナという元マリーンズにいたピッチャーも自分のカードにサインをして配っていた。
右側で立っている人が、このクラスを教えているデパルマ教授。この日は、地元の新聞デイリー・ヘラルドも取材にきて、講演の後、デパルマ教授は取材を受けていた。
少年から年配の大人まで、幅広い年齢層の心をとらえてはなさない野球の魅力。私は、ほんの少しだけかじっている程度でもこんなにも心が踊る。だから、自分でプレーをして、その魔力にひきつけられたら最後一生プレーをし続けるのだろうなあ。ああ、野球、されど野球なり!