Kuniのウィンディ・シティへの手紙

シカゴ駐在生活を振り返りながら、帰国子女動向、日本の教育、アート、音楽、芸能、社会問題、日常生活等の情報を発信。

私立高校の個別相談会始まる~特待生候補?!

2009-10-19 | 日本の教育一般
今週末より、埼玉、東京など一部私立高校の個別相談会が一斉に始まった。私立高校受験の指針となる北辰テストの秋の2回目の結果が先週もどってきたからだ。あたかも解禁日のような雰囲気の土曜日の朝、4月からの北辰テストの結果と1学期の成績、そして英検、漢検の証明書を大事そうにかかえながら、私は埼玉寄りの東京の私立高校へ出かけた。埼玉寄りの東京の私立だと、北辰テストで確約がもらえる。この学校は、帰国子女の受け入れもいいと定評で、家からも遠くなく便利な位置にあるので、うちは公立の滑り止めに考えている。さて、肝心の息子はというと、朝からベッドでバクスイ状態。中間テストが金曜日にあり、全精力を使い果たしたという感じだ。埼玉の私立に問い合わせたら、親だけでも確約は取れるというので、「まっ、親だけでも確約とれるだろう」と簡単に考えていたのだが・・・

一通り説明会を聞いて、一斉に個別相談会が始まった。すごい数の親子の群れが一気に決まった教室に移動。しかし、子供がいない親たちは別の部屋に行かされた。渡された用紙に、1学期の成績、7月から3回分の北辰テストの結果を書く。「なるほど、こんな風になっているのか!」と感心する。

運良く早めにこの部屋に行ったので、一番に相談を受けに行く。若い男の先生が相手。とりあえず、11月にアメリカから帰国してきた帰国子女だと告げる。帰国枠で受けたほうがいいか、一般受験かがまず聞きたかったからだ。先生は、「ふ~ん」と気にする風でない感じ。「もういいや、成績見せちゃおう」とすぐに全部広げた。「9月の北辰が今までになく、悪くって・・・」と早めに言い訳を言って、平均は違うことを強調する。しかし、学校の成績のコピーと北辰の結果をさっと見るなり、その先生の顔色が変わった。「すっ、すばらしい成績ですねえ!」学校の成績を言っている。しゃべり方も声のトーンも変わっている。「はあ、そうですかあ・・」とちょっとうれしくなる私。

先生は、かなり真剣な顔になって、いきなりこう切り出す。「この成績ですと、特待生の候補になれる可能性があります」「え~、そうなんですかあ!」と私。今日はとにかく合格の確約を取ることを目標に来たので、特待を取れる可能性があるなんて、思いもしなかった。「やった!ラッキーだ!」と心の中で大きく叫ぶ。先生は、慎重に学校の成績、北辰テストの偏差値と私が書いた数値を確認する。私が広げた英検、漢検の証明書にはまったく目もくれない。「ちょっとお待ちください」と先生は、上の先生に何かを聞きに行く。帰ってきて、やおら計算機をだして、3回の北辰の3教科と5教科の平均値をだしている。またまた、聞きに出かける。他の人たちが待っているというのに。横の人は10分で終わったぞ。まっ、いいか!特待の話の方が大事だ。

先生の話では、息子の成績だと、1年特待(1年間授業料ただ)の候補になれるんだそうだ。3年特待は、まず学校の成績がパーフェクトでないといけないそうな。こりゃ、なかなかむずかしい。私が調べた埼玉の私立は、北辰一辺倒だったが、この学校は、学力とともに学校生活の態度もかなり重要視するのだ。よかった、息子の今までの学校での頑張りが報われた。3年の1学期まで、ハードな野球部の活動をこなしながら、クラス委員もし、塾にも行かず、独学で頑張ってきたのだ。たった2、3回の北辰テストを見るのではなく、そういう部分を見て欲しいもの。

そして、先生はじっくり3回分の北辰テストを見てくれた。9月は大幅に偏差値がダウンしているが、7月と10月はほぼ同じ。先生は、「よく、ここまで盛り返せましたねえ」とびっくりしている。9月の北辰の失敗は、本当に痛かった。数学のケアレスミスによる1回の失敗が本番の9月にでたので、息子も落ち込みは本当に激しかった。しかし、10月はおそらく必死で自分を奮い立たせ、数学のケアレスをなくした。大げさな言い方だが、かなり崖っぷちに追い込まれていた。この先生の温かい言葉を直接息子に聞かせたかったなあ。この学校が7月からの3回の北辰を見てくれるというのもあり難い。埼玉は、9月以降2回というところが多い。学校によって、確約のやり方がさまざまなのだと知る。

と、喜んでいたら、先生が言うには、子供本人がいないと、併願優遇や特待候補はだしてもらえないのだそうだ。ぜひ次回の個別相談に息子と一緒に来るように言われた。「いやあ、すみません、今日は息子は用事があって、来れなくって。ぜひ次回連れてきます」と言い訳する。本当は家で寝ていたなんて、口がさけても言えないわ。その後、ざっくばらんに野球の話もする。息子は、アメリカのリトルリーグで頑張ってきて、こちらの部活の軟式野球になれるのに苦労したことなど。そしたら、この先生は目を輝かせて、「僕は(中学部の)野球部の顧問なんです」と。またまた、ひとしきり野球の話。もう、うれしくなって、待っている人なんておかまいなしに、この誠実そうな優しい先生と話した。

とにかく、特待という朗報だったので、学校からでて、街中で会った息子にすぐに知らせると、「チェッ、今日すぐにでも行って、取ってきたいなあ」と言う。「よかった、これで、少なくとも高校に行けるってことは確かなわけだ!」とのたまっている。しかし、午後は息子がかなり興味を持っている私立の難関校の説明会。次回の個別相談会に行くことにした。まだ、何も決まっていないのだが、出だしからいい話がきた。特待というおいしい話には、いろいろとやっかいなこともあるのかもしれない。このあくまでも滑り止めの学校を受験するのかどうかはまだわからないが、息子にとって、これだけ評価されたというのは、これからの受験勉強に大いに励みになることだろう。息子は、とても気をよくして、「よし、11月の北辰を頑張って、他の(滑り止めの)学校の特待も決めてやる!」と意気込んでいる。とにかく、まず今日行った学校の特待生候補をゲットするぞ!