職を探していたジャン(タハール・ラヒム)は、
偶然、写真家ステファン(オリヴィエ・グルメ)のアシスタントとなる。
ジャンは銀メッキを施した金属板に像を写すダゲレオタイプの不思議さに魅了されていき、
また、モデルを務めるステファンの娘マリー(コンスタンス・ルソー)に思いを寄せていった。
ダゲレオタイプは長い時間露光させる必要があり、その間被写体を動かしてはならないため、
マリーをダゲレオタイプで撮影する際には彼女を器具に固定させていた。
芸術性を追い求める一方でマリーと同じくダゲレオタイプのモデルを務め
自殺した妻ドゥニーズの幻影におびえるステファン。
拘束を余儀なくされる撮影から解放され自分の人生を掴みたいマリー。
ジャンはマリーがドゥニーズと同じ道を歩ませまいと、彼女を連れ出そうとするが……。
(MovieWalkerより)
黒沢清監督作品を初めてマトモに観ました。
『ドッペルゲンガー』は録画して見て途中で止めた記憶が…。
雰囲気はとても良かった。
こだわり抜いたとされるロケーションは完璧。
写真撮影に使う拘束具は妖しいし、地下の撮影スタジオも荒廃感漂う異様な感じ。
そこに長時間固定される美しい娘。
古い屋敷に居ついている自殺した妻の幽霊と途中から霊になってしまったであろう娘の幽霊と
2種類の幽霊が登場しますが、
この2霊は母娘だけど特に絡まないんだなぁ。
妻の方は自殺に追い込んだという負い目のある夫ステファンにしか見えないみたいだし、
娘のマリーの方はジャンにしか分からないみたい。
ただ、マリーがもはや人ではないという事をジャンはいつから気がついていたのか
ハッキリさせてないんですよね。
いや、自分で気づかないようにしてただけかな?
雰囲気はすごくいいんだけど、面白かったかと聞かれれば、そこそこかな。
父親がダゲレオタイプでしか撮らない写真家であったがために起こった数々の悲劇かな。
静物写真なら何時間かかろが問題ないんだろうけど、
人物を撮ろうとすると、長時間同じ状態での拘束、そのためには筋弛緩剤まで使う。
写真の現像には銀板を水銀蒸気にさらさなければならず、
廃棄物としての水銀が多量に敷地内にある、という
人にはよろしくない条件がいっぱーい。
こんな中で暮らしてたら精神がやられるわww