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好きなことだらけさ…

『ミスター・ノーバディ』

2011年05月19日 | 映画 洋画

ニモ(ジャレッド・レト)が目を開けると、目の前にはフェルドハイム医師と名乗る男がいた。
そこは、2092年の近未来。ニモは自分の事も、姿さえもわからないがその風貌は老人そのものである。
フェルドハイムに鏡を見せられ自分の姿に驚いたニモは自分が118歳であると知らされる。
世の中は、化学の力で細胞が永久再生される不死の世界となっていたのだ。
ニモはそんな世の中にとって、永久再生化を施していない唯一死ぬ事の出来る人間である。
そして、人間が死ぬ姿を一目見ようと、ニモの姿は全国に生中継されていた。

そんなとき、1人の新聞記者がやってきて質問をする。
「人間が"不死"となる前の世界は?」ニモは、少しずつ過去をさかのぼっていく。

9歳のニモの前には、3人の少女がいた。
赤い服を着たアンナ、青い服を着たエリース、黄色い服を着たジーン。
それぞれとの結婚を思い浮かべるニモ。
ある日、学校帰りに自分の母親がアンナの父ハリーと密会しているのを目撃してしまい、
ショックを受ける。そんな母の浮気を知ってか、両親は喧嘩ばかりするようになっていた。
そしてある日、ニモは電車のプラットフォームで、母と電車に乗るか父と残るか、
という選択の岐路に立たされることになるのだった。
(公式サイトより)

多元宇宙、パラレルワールド、あったかもしれない現実…
どれが真実だとかどれが空想だとかの線引きが一切なく、
ニモと呼ばれる男の12通りの過去を流れるように次々と見せられていきます。
(シーンからシーンの繋ぎが実に上手い!)

生まれ出る前のこれから起こる全てを知っている自分が、両親を選んでこの世に生を受けます。
その両親の出会いもバタフライ・エフェクトによるものらしく、
そこで両親が出会わなかったという現実も在りらしい。
(そうなると話が進まなくなるので、その辺は1シーンだったと思う。)

大きな分岐点は両親の離婚。ここからどちらといっしょに生活したか、
幼馴染の女の子の誰と結婚したかで、幾通りものその後を見る事になります。
そういえば、両親が離婚しなかったという設定はなかったなぁ。
劇的展開になりにくいので、そこは無しか。

誰もが死を迎える事がなくった世界で、ただ一人今にも死にゆく老人ニモの回想。
思い出せと強要する医師も、インタビューにきた記者も
矛盾している。どれが本当だ?と観ている観客の気持を代弁していましたが、
圧倒的な量で様々なパターンを見せられると、どれが本当かなんてどうでもよくなります。

監督・脚本のジャコ・ヴァン・ドルマルは公式サイトで
『ミスター・ノーバディ』は、何かを選ぶのではなく、すべてを体験してはどうだろうかという映画体験だ。
そして最後には、すべての経験が興味深いものだということに気づくだろう。
観客に感じ取ってほしいのは、選択には良いも悪いもないということ。
ただ、それを選んだならばどう生きるかだということ。
この点でみると、僕の映画では、自由という問題が大きなテーマの一つになっている。
『ミスター・ノーバディ』によって、道徳や倫理ではない、哲学的なおとぎ話を作りたかったんだ。
と述べています。

15才のニモを演じたトビー・レグボくん。
本作が映画デビューだそうで、かあいいじゃないですかぁ
彼と15才のアンナ役のジュノー・テンプルちゃんとの恋愛シーンが一番幸せそうに見えました。

彼女は『つぐない』の妹役だったんですね。

仏頂面のおかっぱ頭はよく覚えています。






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