秘書検定 67*『敬語の誤用』 (4)謙譲語と尊敬語の混用

2015-07-02 | 秘書検定
 「山田部長はられますか?」

よく、耳にも口にもする言葉遣いですね。

もちろん、相手側である 「山田部長」 を立てているのでしょうが、

実はこれ、謙譲語の 「おる(居る)」 と、尊敬の助動詞 「られる」 を混ぜて使っているため、

尊敬語として、適切とは言えないのです。

「お客様が待ってられます」 「先生が呼んでられます」 も同様で、正しくは以下のようになります。

 「山田部長はいらっしゃいますか?」  「山田部長はおいでになりますか?」

 「お客様が待っていらっしゃいます」  「お客様がお待ちです」

 「先生が呼んでいらっしゃいます」  「先生がお呼びです」


ちなみに、音は似ていますが、「山田部長はられますか?」 でしたら、

来る」 は謙譲語ではありませんので、尊敬の助動詞 「られる」 を付けることで、尊敬の表現となります。

ただ、「られる」 は可能の助動詞でもあります。

この言い方では、「山田部長は来ることができますか?」 という意味にも聞こえてしまいますので、

尊敬の念を伝えたいならば、「山田部長は来られますか?」 よりも、

 「いらっしゃいますか?」 「おいでになりますか?」 「お越しになりますか?」 「お見えになりますか?」

と述べた方が、相手側を立てる気持ちが、ストレートに伝わることでしょう。


 さて、「おられる」 以外にも、謙譲語と尊敬語を混用した言い方があります。

 「ご連絡してくださり、ありがとうございます」  謙譲語Ⅰ 「ご ~ する」 + 「くれる」 の尊敬語 「くださる」

 「ご連絡くださり、ありがとうございます」


 「お客様の申されるとおりです」  「言う」 の謙譲語Ⅱ 「申す」 + 尊敬の助動詞 「れる」

 「お客様のおっしゃるとおりです」
 ただし、「申し込む」 「申し付ける」 は、相手側に使う言葉として一般的に定着している言い方ですので、
   「窓口でお申し込みください」 「何なりとお申し付けください」 は、謙譲語と尊敬語の混用とはなりません。


 「ご旅行は、どちらに参られたのですか?」  「行く」 の謙譲語Ⅱ 「参る」 + 尊敬の助動詞 「られる」

 「ご旅行は、どちらにいらっしゃったのですか?」  「どちらにお出かけになったのですか?」


 「ポイントをご利用されると、さらに値引きします」   謙譲語Ⅰ 「ご ~ する」 + 尊敬の助動詞 「れる」

 「ポイントを利用される」  「利用なさる」  「ご利用になる」



謙譲語と尊敬語を混用してしまう原因として、上司や先輩の言葉遣いを、そのまま口移しで使っているうちに、

やがて自分の言い方として定着してしまうケースが多いのではないかと考えます。

誤りと認識していない人が見受けられる一方で、不適切に感じる人も多いので、この機会に見直してみてはいかがでしょう。


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