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カピパラ?いいえ特定外来種「ヌートリア」 農作物被害増加中

2010年01月08日 | 環境問題
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 同じ水辺に住むネズミ
 パッと見るとカピバラを思い出した。カピバラは、南アメリカ東部アマゾン川流域を中心とした、温暖な水辺に生息する。 ネズミ目(齧歯類:げっしるい)中最大種であり、カピパラ科に分類される。モルモットに近いネズミのなかまである。

 カピバラは、体長105~135cm、体重35~65kgにまで成長する。5cm以上にもなるタワシのような硬い体毛に覆われている。泳ぎが得意で、前足後足には蜘蛛の巣状の水かきがついている。群れを成して泳ぎ、捕食動物から身を隠すために水中に5分以上潜ることができる。鼻先だけを水上に出して眠ることもある。

 一方、ヌートリアも、ネズミ目(齧歯類:げっしるい)、ヌートリア科に属する哺乳類の一種。やはり、南アメリカを原産地とする。体長は尾をふくめ70~100cm、体重5-9kgの大型の齧歯類であるが、カピバラよりひとまわり小さい。

 やはり、水辺で生活するのはカピバラに似る。泳ぎが得意で5分以上潜水することもある。体つきはドブネズミなどに似るが、耳が小さく、後ろ足には水かきがある。オレンジ色の大きな前歯も特徴的。また、水上でも授乳できるよう、乳首がやや背中寄りについている。

 ヌートリアは尾が長いことや、大きさを見るとカピバラと違うことがわかるが、その他はカピバラと似ている。しかし、こちらの方は、近年増加している、アライグマ、マングースなどと同じ、特定外来生物に指定される害獣である。

 50超す自治体がヌートリア対策 
 農産物被害が相次いでいるヌートリア。体長は50~60センチにもなる(兵庫県森林  動物研究センター提供) 南米原産で巨大なネズミの仲間「ヌートリア」による農作物被害が、少なくとも中部以西の10府県で確認され、兵庫など9府県の50を超える自治体が、外来生物法に基づく防除計画を策定したことが28日、環境省や農林水産省のまとめで分かった。

 ヌートリアは、イネや野菜をエサに季節を問わず繁殖。特に兵庫県は全国の被害額の3分の1を占め、捕獲費用の半額補助制度を設けるなど対応に躍起になっているが、“ネズミ算式”の増加に頭を痛めている。

 ヌートリアは、戦時中に防寒用の毛皮をとるため国内で頻繁に飼育されていたが、戦後は需要が急減し、しだいに野生化したという。

 農水省によると、農産物被害額は平成13年度は7100万円だったが、20年度は1億2400万円に増加し、最も被害が大きい兵庫県では約4300万円を占めている。ここ数年の被害は、兵庫をはじめ岐阜や大阪、鳥取など10府県に及んでいるという。

 平成17年に「特定外来生物」に指定
 兵庫県によると、県内の被害額は13年度は約2600万円だったが、この7年間で約1.7倍に急増。生態を調査している兵庫県森林動物研究センター(丹波市)によると、河川流域に生息するヌートリアは、県南部の加古川流域からこの10年間ほどで一挙に北部まで広がり、「ほぼすべての河川流域で確認されている」という。

 固いものでも強い咀嚼(そしゃく)力で食べるため、キャベツやニンジンなど野菜の被害が相次いでいる。

 国は、ヌートリアなど外来種防除のため平成17年に外来生物法を制定。同法に基づく防除計画では、都道府県の許可を受けなくても捕獲や防除ができることなどから、農産物被害に悩む自治体が相次いで計画を策定。環境省によると、防除計画は、12月中旬までに大阪府と岡山県、さらに7県の52市町が策定し、特に兵庫県では41市町のうち24市町に上っている。

 ヌートリアの捕獲方法は、巨大なねずみ捕りのような「ハコわな」と呼ばれる器具を使うのが一般的。ただし、出産が年2、3回でそのたびに数匹を産むため、捕獲を続けても次々と生息域を拡大しているとみられている。

 兵庫県森林動物研究センターの小林敏郎森林動物専門員は「文字通り『ネズミ算式』に広がっており、農産物被害だけでなく生態系を乱すため、地域から排除する必要がある」と話している。(産経ニュース 2009.12.28)

 ヌートリアとは何か?
 ヌートリア(海狸鼠・沼狸)は、ネズミ目(齧歯目)ヌートリア科に属する、哺乳類の一種。南アメリカを原産地とするが、毛皮を取るために移入したものが野生化し、現在、北アメリカ、ヨーロッパ、日本を含むアジアに帰化して分布する。

 頭胴長40-60cm、尾長30-45cm、体重5-9kgの大型の齧歯類である。水辺の生活に適応しており、泳ぎが得意で5分以上潜水することもある。体つきはドブネズミなどに似るが、耳が小さく、後ろ足には水かきがある。オレンジ色の大きな前歯も特徴的。また、水上でも授乳できるよう、乳首がやや背中寄りについている。

 半水性で、池沼や流れの弱い河川の岸辺の土手などに巣穴を掘り、普通は雌雄のペアで生活をする。結氷するような寒冷地では生息できない。

 主食はマコモやホテイアオイなどの水生植物の葉や地下茎である。明け方と夕方に活発な採餌のための徘徊行動が見られ、日中は巣穴で休息していることが多い。雌は定住的で、雄に比べて行動範囲は狭い。若い個体は新しい縄張りを求めて移出する。

 季節を問わず繁殖し、年に2、3回出産をする。妊娠期間は約4ヶ月で、平均5匹の子を産む。十分に発達してから産まれるため、丸一日後には泳げるようになり、3日後くらいには早くも成体と同じ餌を摂り始める。その後約半年で性成熟する。寿命は5-8年程度。

 ヌートリアと人間
 ヌートリアは丈夫で育てやすく、柔らかい上質な毛皮が安価に入手できるため、第二次世界大戦ごろには、軍隊の防寒服用として世界各国で飼育された。日本では1939年にフランスから150頭が輸入され、飼育が奨励された。このころは軍隊の「勝利」にかけて「沼狸」(しょうり)と呼ばれ、1944年ごろには、日本全国で4万頭が飼育されていた。

 終戦後、毛皮の需要が激減したことに伴い、その多くが野外に放逐された。また、1950年代の毛皮ブームでは本種の飼育が流行したが、その後の毛皮価格の暴落に伴い、このときも多数が野に放たれ、野生化している。これらの子孫が各地で定着し、西日本各地(広島県、岡山県、島根県、香川県と近畿・東海の各府県)に分布が拡大していたが、千葉県や静岡県の一部でも生息が確認されており、今後も拡大すると考えられる。特に岡山県にはかなりの数が生息しており、年間約800-2000頭もが害獣として捕獲・駆除されている。

 日本では侵略的外来種として問題になっており、イネやオオムギ、葉野菜などに対する食害のほか、絶滅危惧種に指定されているベッコウトンボの生息地を壊滅させるなど、在来種の生態系への影響も深刻である。さらに、本種の巣穴は複雑に入り組んでいて深く、水田の畦が破壊される原因にもなっている。2005年6月には、特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律(外来生物法)によって特定外来生物に指定されており、50を超える地方自治体が同法に基づく防除計画を策定している。

 1970年代のイギリスでは、10年がかりで約100万頭を駆除し根絶に成功した。寒冷下では尾の凍傷から感染し死に至ることがしばしばある。これが原因でスカンディナビアでは絶滅している。(Wikipedia) 

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