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世界一高い場所にある地層「イエローバンド」とは何か?

2010年01月26日 | 地学

 エベレストの「イエローバンド」
 世界で一番高い地層はどこにあるのだろう? 

 それはヒマラヤ山脈の「エベレスト」である。山頂付近は、4億6000万年前(古生代・オルドビス紀)の地層で、「チョモランマ層」という。チョモランマ層の石灰岩からは海ユリや三葉虫の化石が発見されている。

 その下には「イエローバンド」と呼ばれる、変成石灰岩の層があり、ここにもウミユリの化石が見つかっている。「イエローバンド」の下は「ノースコル層」があり、おもに黒雲母片岩からなる。

 エベレストの高さは8,848m。頂上に4億6000万年前の海生生物の化石があるということは、驚いたことに世界一高い場所が海の底だったことを意味する。

 およそ7000万年前後期白亜紀、まだ海の底だったヒマヤラが隆起を始めた。プレートテクトニクス理論によると、ヒマラヤの下にある「インド・オーストラリアプレート」が15cm/年の速度で北上し、「ユーラシアプレート」と衝突した。

 約5000万年前、このインド・オーストラリアプレートの速い動きによって海底の堆積層が隆起し、周縁部には火山が発生してインド亜大陸とユーラシア大陸の間にあったテチス海を完全に閉ざした。

 これらの堆積岩は軽かったので、プレートの下には沈まずにヒマラヤ山脈を形成した。 今もインド・オーストラリアプレートはチベット高地の下で水平に動いており、その動きは高地を更に押し上げている。

 インド・オーストラリアプレートは67mm/年の速度で動いており、今後1000万年の間でアジア大陸に向って1,500km移動すると考えられている。 この動きのうち約20mm/年の分は、ヒマラヤの南の正面を圧縮することによって吸収される。 結果として約5mm/年の造山運動が発生し、ヒマラヤ山脈を地質学的に活発にしている。 このインド亜大陸の動きにより、この地域は地震の多発地帯となっている。

 15,000mもあったエベレスト?
 世界最高峰のエベレスト(8,848m)のさらに上には約2000万年前まで、巨大な地層があった。1998年登頂に成功した「チョモランマ総合学術調査隊」が、その証拠となる断層を発見した。調査隊に参加した九州大学の酒井治孝教授(地質学)の分析で分かったもので、山体は「二層構造」だったが、上の層が約300万年かけてずり落ち、さらに風雪や氷河による浸食により、現在の形になったという。酒井教授は「エベレストはかつては15,000メートル以上有った」としている。

 ヒマラヤ山脈がどのようにして出来たかの研究は1980年代にはいって大きく進んだ。現在の有力な学説では、約5000万年前にインドがアジア大陸にぶつかり地続きとなった結果、地中深くで高温高圧にサラされて出来た広域変成岩が盛り上がって堆積岩の地層を押し上げ、二層構造の山脈になったとされる。

 また現在の山脈の北側に波状に曲がった褶曲地層が有ることなどから、二千万年前ころ堆積岩の地層が耐えきれず、北側へずり落ち始め、水平方向の断層を作りながら約三百万年間ゆっくり落ち続けたと考えられてきた。しかし、決め手となる断層は見つかっていなかった。

 酒井教授によると、発見された断層は、岩石の壊れ方ずれた方向が有力な学説と一致するという。堆積岩の厚さは約一万メートル有ったと言われ、酒井教授は「二千万年の間に山脈全体がしたから盛り上がったことなど様々な要因を差し引いても、エベレストは15,000メートルは有った」と説明している。(朝日新聞 1999年7月4日)

 「ヒマラヤの氷河2035年消失」は誤り?
 あのノーベル平和賞に輝いた、国連「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)が間違えを認めたという報道。いったいどうしたのだろうか?

 IPCCは20日、2007年に公表した4次報告書の記述のうち、ヒマラヤの氷河が35年ごろまでに消失するという予測が誤りだったと発表した。

 誤りだったのは、報告書のうち、地球温暖化の影響をまとめた「第2作業部会」担当部分の一部。環境NGO(非政府組織)世界自然保護基金(WWF)の2005年のデータの引用などとして、「ヒマラヤの氷河は世界のどの地域よりも早いスピードで崩壊が進み、35年ごろまでに消失する」と指摘していた。IPCCは、報告書作成の過程で必要とされる科学的根拠の確認などが十分でなかったとしている。

 また、カナダや米国の研究者らは同日、米科学誌サイエンス電子版で誤りの背景などを解説。IPCCが消失の時期を「2035年」としたのは「世界全体の氷河は2350年ごろに(現在の)50万平方キロメートルから10万平方キロメートルに縮小する」という過去の研究を誤って引用した可能性があるという。研究者らは、35年ごろまでにヒマラヤの氷河が消失するには、1960~1999年の間の消失率の25倍の速度で減少していかなければならない計算になり、氷河と気候の関係に関する知見と相反すると指摘した。(asahi.com 2010年1月22日)

 参考HP Wikipedia「エベレスト」「ヒマラヤ山脈」

続きはこちら → http://sciencejournal.livedoor.biz/ 

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