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血液中に「α-MSH」が増加!慢性疲労症候群(CFS)とは何か?

2010年01月11日 | 健康
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 慢性疲労症候群
 疲労が抜けない毎日、スッキリしない。いつも風邪をひいているような感じだ。こんな症状のとき慢性疲労かもしれない。

 疲労は、身体にとって生命と健康を維持する上で重要な信号のひとつである。「休みなさい」と体が言っているのである。しかし、休日に休んでも何か疲れがとれた感じがしないとなると別の原因を考えてみる必要があるかも知れない。

 慢性疲労症候群(CFS)は、原因不明の強度の疲労が長期間(一般的に6ヶ月以上)に及び継続する病気である。この疾患の概念はアメリカで生まれた。英語ではChronic Fatigue and Immune Dysfunction Syndrome というので、略してCFSという。

 主な症状
 身体・精神両方に激しい疲労感が生じる。運動・精神活動によって疲労感が増すが、休息や睡眠による回復は遅い。疲労の程度には個人差があり、何とか働ける程度から寝返りも打てない者もいる。

 長期間の疲労感の他に次の症状等を呈することがある。微熱 ・咽頭痛 ・頸部あるいはリンパ節の腫張・原因不明の筋力低下 羞明 ・思考力の低下・関節障害 ・睡眠障害

 原因不明の疾患で、通常、血液検査等も含む全身の検査を受けても他の病気が見つからなく、精神疾患も当たらない場合に初めて疑われる(除外診断)病気である。しかし、詳細に検査をすると神経系、免疫系、内分泌系などに異常が認められる場合もある。

 アメリカ疾病予防センター(CDC)によると、完治は希で5〜10%であるものの、治療により改善したり、ある程度回復するとされている。日本では、約38万人(0.3%)がCFSを罹患していると推定されているが、認知度の低さにより、適切な診断を受けていないか、うつ病・神経症・更年期障害・自律神経失調症等に誤診されている患者が多いと思われる。

 厚生省診断基準案
 
厚生労働省の提案している診断基準に、次のような基準がある。
 大クライテリア(大基準) :生活が著しく損なわれるような強い疲労を主症状とし、少なくとも6ヵ月以上の期間持続ないし再発を繰り返す(50%以上の期間認められること)。
 小クライテリア(小基準):1.症状クライテリア(症状基準)-(以下の症状が6ヵ月以上にわたり持続または繰り返し生ずること)
2.徴熱(腋窩温37.2~38.3℃)ないし悪寒 咽頭痛 頚部あるいは腋窩リンパ節の腫張 原因不明の筋力低下 筋肉痛ないし不快感 軽い労作後に24時間以上続く全身倦怠感 頭痛 腫脹や発赤を伴わない移動性関節痛
3.精神神経症状(いずれか1つ以上): 光過敏、一過性暗点、物忘れ、易刺激性、混乱、思考力低下、集中力低下、抑うつ 睡眠障害(過眠、不眠) 発症時、主たる症状が数時間から数日の間に出現
4.身体所見クライテリア(身体所見基準) - (少なくとも1ヵ月以上の間隔をおいて2回以上医師が確認) 微熱 非浸出性咽頭炎 リンパ節の腫大(頚部、腋窩リンパ節)または圧痛

CFSと診断する場合: 大基準に加えて、小基準の「症状基準8項目」以上か、「症状基準6項目+身体基準2項目」以上を満たす
CFS疑いとする場合: 大基準に該当するが、小基準で診断基準を満たさない。(出典:Wikipedia)

 タンパク質「α-MSH」
 このように疲れが抜けないときは、慢性疲労症候群(CFS)を疑ってみる必要があるかもしれない。しかし、通常の疲労とどこが違うのだろうか? 

 原因不明の激しい疲労が半年以上も続く「慢性疲労症候群(CFS)」を診断できる血液中のたんぱく質を、大阪市立大の木山博資教授(解剖学)らが発見した。

 CFSには自覚症状を中心に判定する診断基準はあるが、血液の検査値など客観的な指標(マーカー)はなく、今回の発見は健康診断などに活用できそうだ。

 木山教授らは、5日連続の運動で極度に疲労させたラットの脳下垂体の中葉と呼ばれる部分を分析。「α-MSH」というたんぱく質が異常に分泌され、血液中のα-MSHの量も上昇していくことを突き止めた。α-MSHの分泌は神経伝達物質ドーパミンが抑制しているが、ラットでは疲労がたまるにつれドーパミン産生能力が低下していた。

 一方、CFSと診断された患者57人と、健康な30人の血液を使い、α-MSHの量も測定した。その結果、発症後5年未満の37人の平均値は健康な人に比べ、約50%も高かった。

 一晩徹夜した人の血液を調べてもα-MSHの量に変化はないことから、短期間の疲労とは関係がないこともわかった。CFS患者は潜在する人も含め、国内に200万人以上いるとされる。(2010年1月7日  読売新聞)

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