もう三週間も前から読みかけている「天才狩り」が終わらない。本屋でパラパラと読んで買ってきたのだが、最初は天才についての薀蓄も背景もとても面白くてスイスイと読み進んだ。
以前チラっと見たテレビドラマで、二人の天才から一人を選ぶ場面があった。もう最後に近いらしく話は進んでしまっていたし、このドラマは途中で一度も見たことがなかったので、面白そうだなぁと思ったきりで忘れていた。どうもその話に似ているようで、これが原作かも知れないと思って買ってきた。
上巻が終わった頃、二人の天才が見つかり財団の奨学金をどちらに与えるかということになったのだが、そこでピアニストの少年が誘拐される。その顛末が長くて詰まってしまった。誘拐事件はいろいろな小説で読んだし映画も見た。
ここに来て長いのでちょっと退屈した、助け出されるのが決まった話も面白くないし早く話を進めてほしいのだが、といって飛ばしてしまうのも後で半端な後悔が残るかもしれない。と思うととうとうつかえてしまった。
仕方がないので気分転換に、買ってあった本を読んだ。直木賞の奥田英朗「イン・ザ・プール」「空中ブランコ」。借りていた「石のささやき」。次はサントリーミステリー大賞の「時の渚」。
限りある時間に縛られている感じがする昨今、本屋の不発弾を拾わないようにするには何かの賞を取ったというのがいいかもしれないと思うようになった。文学書と呼ばれる物から離れ出したのは、自分なりの育児休暇が終わって多少世間が分かり丸くなり始めた頃で、そのとき朝日放送か何かの懸賞を取った、井口厚という人の「幻のささやき」という本が面白過ぎたということもある。
この作者はどこか(電通だったか)の社員で一作だけしか書かないといったのも新鮮だった。取っておいたはずなのに本箱になくなっている。読み返してもいいのだが20年以上も前の本で図書館にないかもしれない。
横道にそれたが、そんなこんなで「天才狩り」が終わらない。気になって仕方がないが「時の渚」(読み始めから面白い)が終わったら片付けよう。何か気になることがあってもいやなときはそんなことは後回しにして先に進んでしまうのは困った性分だと自分でも思う。