空耳 soramimi

あの日どんな日 日記風時間旅行で misako

デイナ・スタベノウ 「白い殺意」 芹沢恵訳 ハヤカワ文庫

2010-09-25 | 読書
以前クレイグ・ホールデンの「この世の果て」というミステリを読んだことがある。アラスカの自然が美しい作品だった。

これも同じ舞台だというので読んでみようと思った。

アラスカ湾沿岸の国立公園が舞台だか、どうも架空の地らしい。
それでも白い冬、深い雪の中の暮らしや、先住民の捜査官ケイト・シュガックも魅力的で、面白かった。
第4作まであるそうだかその第1作。


* * *

重傷を負い、事件を引きずって退職したケイトは、故郷のアラスカの地で隠遁生活を始めていた。雪の深い冬、国立公園の開発のために来ていた公園レインジャーが行方不明になり、その調査に派遣された検事局の捜査官も行方がつかめなくなる。

そこでケイトに捜索依頼がくる。

在職時代の恋人に説得され、しかたなく危険な捜査を始めるが、手がかりがない。

公園の山でかって採掘されていた鉱物資源の再採掘など、狭い入植地をめぐっての争いや、先住民など入植者の権利をめぐる争いがある。
調べていくうちにケイトは銃で狙われる。

* * *

極寒のアラスカ湾沿岸から入った奥地を、スノーモービルで駆け回るケイト、そこでは先住民の彼女をめぐるすそ幅の広い一族の人たちに囲まれてもいる。

アンカレッジ検事局時代の恋人、上院議員の父をかさにきて強気に開発を追い進めるレインジャーなど、興味深い設定。

主人公ケイトの堅物振りも微笑ましいし、ストーリーにあまり起伏はないが、文章はそれを補って余りある。

ついでに、言葉を話すような、表情豊かなペットの大型犬のファンになりそうだし。

一読の価値のある一冊。
アメリカ探偵作家クラブ賞受賞

コメント
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