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「八朔の月 みをつくし料理帳」 高田郁 ハルキ文庫

2014-12-02 | 読書


年末に近くなると、何かと雑用で出かけることが多く、読書の時間がなくなった。読みかけの厚めの本が三冊あるが置いておいて、この読みやすい本を読んだ。増える一方の積読を減らしてさっぱりしたい。大急ぎでメモをする。

上方で水害に会い両親を失った「澪」は天満の料理屋の夫婦に助けられる。味覚の優れた澪は調理場を任されるようになるが、火事で店が焼け、主人の息子が江戸で店を出しているのを頼って神田に落ち着く、が頼りにしていた肝心の息子は行方が知れなくなっていた。気落ちした主人が亡くなり、女将だった芳と二人暮らしになる。

近くの荒れた稲荷の世話をしていて、蕎麦屋「つる屋」の主人と知り合う。亡くした娘(つる)の面差しに似た澪が気に入り店の手伝いをさせる。
澪はそばだけでなく、上方の味を江戸風に作り変え、季節の料理も考えて「つる屋」を盛り立てていく。

店主の種市が腰を痛め、澪が代わりに店主を務めることになる。蕎麦うちが出来なくなった種市の店は、上方風の料理屋に衣替えをする。何か目玉商品がいる。そこで戻り鰹を混ぜた「はてなの飯」を考案、名前と味で評判をとる。その後同じような献立を作った噂の名店「登竜楼」に嫌がらせを受けながら、次々に新しい料理を作り出して、料理番付で「大関」に格付けされて評判になる。

何度も嫌がらせや災難に出会いながら、女将の芳を母親のように慕い、つる屋の主人を守りながら周りの人たちの暖かい人情に支えられて成長していく。稲荷神社で知り合った医師の源斎、味にうるさい浪人小松原も何かと力になる。

常に前向きで、純に素直に生き抜く澪を通して、暖かい人の生き方が、周りにも伝わる、読者までも引き込んで読ませる明るい話だった。

水害で生き別れになった幼馴染が、元気でいるらしい。そんな暖かい余韻が、次に続く物語を待つ気持ちになる。




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