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「チャイルド・オブ・ゴッド」 コーマック・マッカーシー 黒原敏行訳 早川書房

2014-12-19 | 読書


コーマック・マッカーシー 

「チャイルド・オブ・ゴッド」(1973)
「Suttree」   (1974)  初期三部作
「ブラッド・メデリアン」 (1979)


「すての美しい馬」 映画化
「血と暴力に国」  映画化「ノーカントリー」として、アカデミー賞作品賞ほか4部門 21世紀からの三部作
「ザ・ロード」   映画化 
  

「チャイルド・オブ・ゴッド」は初期作品だか映画化によって2013年邦訳


アメリカ、アパラチア山脈に住む貧困で、母は男と逃げ、父は自殺した。身寄りのないまま育ち、レスター・バラードが育った小屋を含め周りの土地まで、税金滞納で競売にかけられるところから始まる。
住処をなくした彼は、敗れ小屋を見つけ、孤独な自給自走の生活が始まる。それが7~10歳のころ。粗野で粗暴なので村人にも馴染まなかったが、車で森に入った若者のカップルを見つけて殺し、それから連続殺人が始まる。
以前妹に対する近親相姦から、殺した女を屋根裏に隠した死姦を繰り返し、ついには放火。孤独ゆえか、殺した女を屋根裏に上げて同居をするようになる。火事を起こし家がなくなった後は複雑な地形の洞窟にすみ。まれな大洪水が起こり犯行が現れて逮捕。弱りきった体で逃げ迷い、病院に来て自供し死ぬ。

広いアメリカの社会では、こういった山間部の貧困があり小説の題材になっている。この犯人レスター・バラードもそうした社会で人と交わらず教育を受けないで育つ。ライフルの腕を頼りにいつも持ち歩いて食べ物を獲る事もある。、無知と、生きるために食べ物を見つけては食べるようなその日暮らし。しかしそれに慣れ。そういった生活を続けるとなどは、殆ど本能によって生きている。危険から身を守ることを(独白で)言葉にすることが出来ても、自分自身を振り返ってみることなどまったく思いつかない。

陰惨な、犯人に関して言えば社会に見捨てられた悲惨な人生ではあったが、コーマック・マッカーシーが書く文章は、四季の風のそよぎであれ、雪すさぶ吹雪に揺れる木であれ、レスターが徘徊する足のしたの霜柱や、落ち葉にた無数の不透明なガラスのような光など、澄み切った自然の風物が、透明感を持って心に訴えてくる。
そういった青く青い高い空、澄み切った流れ、野草に吹く風の音。鳥や獣の鳴き声や羽根が風を切る音。、雪の上に残していく足跡。作者の筆致は独特の情感を持っている。
またこの作品は、ショートストーリーろ積み上げることで、シーンが違っても実に気の効いた形で、回りに雰囲気や、中でもレスターの生い立ちが徐々に判明するように話しに汲み込まれている。
会話は括弧で囲まず詩のような箇条書きで雰囲気がいい、それも大きな特徴で、こうした構成が酷薄な事件を和らげているようにも思える。

現実に起きた事件を基にしているとも言われるが、前面の露悪的な事件の周りが,こうした別世界に思えるような世界なので、殺されて無残な姿を晒す遺体の姿まで、大きな自然の中では、最後は静かに土に返るように思える。

前に方用に、非常な世界を書いて名前が出てそれが映画化され作家として安定したした。今ではノーベ文学賞候補ともささやかれているという。

今年になってマッカーシー原作の「悪の法則」を見みた。豪華キャストの競演だったが主題が弱く、原作を読んでいないのでわからないが、★3位の出来だった。




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