これは「失踪当時の服装は」と似た雰囲気だが、随分後に書かれた、フェローズ署長が指揮を執る別のシリーズ。衝撃のラストという言葉通りの作品。
これを先に積んでいたが、初めての作者なので発表された順がいいだろうと「失踪当時の服装は」から読み始めた。
コネチカット州ストックフォード警察署、フェローズ署長が指揮を執るシリーズ。
「失踪当時の服装は」とは別なシリーズになるが、よくあるメンバーの私生活や個人的なつながりに深入りしていないので個別な作品として楽しめた。
続けて読んでよかったのはプロットがよく似ているし混同しそうだった点だが、並べてみるとストーリーの違いが整理できた。
警察の捜査方法も、書かれた時代を反映している。今から見るとスマホもなく科学捜査の点でも足を使っての証拠集めが主になっているのもよく似ている。
ただ「失踪当時の服装は」に比べて「犠牲者」という言葉があるところが登場人物は重く、社会的な影が濃く、個人の人生を踏まえた深みがある。
どちらかといえばミステリに哀切な色付けがされた時代背景や社会環境の影響が濃い作品だと感じた。
代表作とされる「失踪当時の服装は」と雰囲気が同じようなところも多かったが、やはり読んでよかった作品だった。
題名のとおり「生まれながらの犠牲者」が語る最終章が、まさに慟哭の結末で、伏線にも気づかないで一気読みをした。
ヒラリー・ウォーはチャールズ・ボウエルのノンフィクション「彼女たちは、みな若くして死んだ」に啓発されてミステリを書き始めて成功したのだそうだが、参考図書を読むのは好きだが、こういった犯罪はフィクションだから読めるので、現実に起きた事件なら悲惨な結果に眼をそむけたくなるだろう。犯人も被害者もいわば不幸な出会いがあり、被害者になり加害者になった。その不幸は環境や素質の歪みであったとしても、即犯罪に結びつくのはやはり異常で、ミステリにだけ許されることだろう。昨今の似たような事件でも死刑判決が出て執行された例がある。だがやはり罪は罪で被害者がどんなに恵まれない環境で育ち性格が大きく歪んだ結果にしても犠牲者の人生を恐怖に陥れることはできない。
この作品で美しい13歳の少女の人生がどんなふうに閉じられたか。捜査の足並みが深みに踏み込むにつれ、伏線も見逃す新しい視点で読んだ。二作を比較して同じようでいながら犯人は誰だというミステリの根本はこうも書けるのだという新しい読み方ができた。
コネチカット州ストックフォード警察署、フェローズ署長が指揮を執るシリーズ。
「失踪当時の服装は」とは別なシリーズになるが、よくあるメンバーの私生活や個人的なつながりに深入りしていないので個別な作品として楽しめた。
続けて読んでよかったのはプロットがよく似ているし混同しそうだった点だが、並べてみるとストーリーの違いが整理できた。
警察の捜査方法も、書かれた時代を反映している。今から見るとスマホもなく科学捜査の点でも足を使っての証拠集めが主になっているのもよく似ている。
ただ「失踪当時の服装は」に比べて「犠牲者」という言葉があるところが登場人物は重く、社会的な影が濃く、個人の人生を踏まえた深みがある。
どちらかといえばミステリに哀切な色付けがされた時代背景や社会環境の影響が濃い作品だと感じた。
代表作とされる「失踪当時の服装は」と雰囲気が同じようなところも多かったが、やはり読んでよかった作品だった。
題名のとおり「生まれながらの犠牲者」が語る最終章が、まさに慟哭の結末で、伏線にも気づかないで一気読みをした。
ヒラリー・ウォーはチャールズ・ボウエルのノンフィクション「彼女たちは、みな若くして死んだ」に啓発されてミステリを書き始めて成功したのだそうだが、参考図書を読むのは好きだが、こういった犯罪はフィクションだから読めるので、現実に起きた事件なら悲惨な結果に眼をそむけたくなるだろう。犯人も被害者もいわば不幸な出会いがあり、被害者になり加害者になった。その不幸は環境や素質の歪みであったとしても、即犯罪に結びつくのはやはり異常で、ミステリにだけ許されることだろう。昨今の似たような事件でも死刑判決が出て執行された例がある。だがやはり罪は罪で被害者がどんなに恵まれない環境で育ち性格が大きく歪んだ結果にしても犠牲者の人生を恐怖に陥れることはできない。
この作品で美しい13歳の少女の人生がどんなふうに閉じられたか。捜査の足並みが深みに踏み込むにつれ、伏線も見逃す新しい視点で読んだ。二作を比較して同じようでいながら犯人は誰だというミステリの根本はこうも書けるのだという新しい読み方ができた。