Cape Fear、in JAPAN

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『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

アイリスに恋をして

2012-09-17 00:15:00 | コラム
きのうの、シナリオ創作「あれこれ」のつづき。

主人公のキャラクター造形は、凝り過ぎというくらいに凝っていて完璧である。
これは、読んでもらった識者にもそういわれた。

ただ主人公が際立ち過ぎ、その他が弱いらしい。
主人公の原動力となるはずのヒロインが、主人公の強烈なキャラクター性に「なにもかも、負けてしまっている」とは、識者の評。

なるほど、バランスが悪いということなのだろう。

19歳のころに書いたシナリオから、自分の作品には必ず「亜希」というキャラクターが登場する。
石井隆の「名美」に似た運命のヒロインだが、主人公になったことは一度としてない。
登場場面は少ないが、常に主人公の原動力になっている、、、というキャラクター設定である。

分かり易くいえば、「助演」のキャラ。

というわけで、助演キャラの優れた映画を片っ端から再鑑賞することにした。

きょうのタイトルのアイリスとは、もちろん、『タクシードライバー』(76)でジョディ・フォスターが演じた少女娼婦の名前である。
この映画にはふたりのヒロインが登場するが、印象に残るのは「どう考えても」アイリスのほう。
ベッツィ(シビル・シェパード)がプライドの高い「移り気な」女だから、、、ではない。アイリスこそが、主人公トラビスの原動力になっているから、、、である。(あんなに気の触れたトラビスは、それでもアイリスを抱こうとしないのだ!)

アイリスのようなキャラクターをものにしたい、そう思う。
ときに主人公を喰うほどのインパクトだが、そういった「すれすれの」線を狙いたい。

悩むが、すらすらと書けるのは第一稿くらいで、二稿目三稿目とは、なかなか進まないもの。
思いっきり苦悩してやろうじゃないの。


以下に挙げた映画のキャラクターは、主人公を喰うことはないが、ある意味では作品のなかで最も輝く助演の女子キャラクターである。
傑作のなかにも「助演女子キャラは添え物」という映画が多いなかで、彼女たちはきちんと呼吸している。息をしている。素晴らしいじゃないか。


(1)八重、『飢餓海峡』(65)…演じるは左幸子
犯人(三國連太郎)の爪を、大事に大事に取っておく。
切ない。

(2)リンダ、『ディア・ハンター』(78)…演じるはメリル・ストリープ
好いている男を忘れるために、好いていない男をベッドに誘う。
これまた、切ない。

(3)ミハル、『あつもの』(99)…演じるは小島聖
「触ってもいいですよ」と、主人公(緒形拳)に呟く。
男たちは、彼女の魔性に狂わされた。

(4)ミハル、『機動戦士ガンダム2 哀・戦士編』(81)…声優は間嶋里美
同じミハルでも、彼女はスパイだった。

(5)ダニエル、『ケープ・フィアー』(91)…演じるはジュリエット・ルイス
10代の危うい性を見事に体現したジュリエット・ルイス、彼女のキャリアのなかで最高のパフォーマンスだったと思う。

(6)フローラ、『ピアノ・レッスン』(93)…演じるはアンナ・パキン
愛らしさのなかに残酷性を宿す。

(7)オーレン石井、『キル・ビル』(2003)…演じるはルーシー・リュー
アニメパートも含めて、第一作目のなかで出色の出来。

(8)ひづる、『東京FIST』(95)…演じるは藤井かほり
ひづるにボコボコに殴られる主人公・塚本晋也。殴られたあとの顔の腫れは劇画的だが、暴力行為が愛情表現にまで高められた最高のシーンだと思う。

(9)アンナ、『第三の男』(49)…演じるはアリタ・ヴァリ
長い長いラストシーンがなければ、キャラクターとしては弱かった「はず」。
あのラストによって、彼女のキャラクターも永遠となった。


そして、

もちろんアイリス。


※『ディア・ハンター』より・・・
主題曲『カヴァティーナ』を、村治佳織と沖仁の共演で。




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コメント (2)
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