「肉の日」29日より公開される米映画、『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』を先行で観せてもらった。
アアダコウダナンヤカンヤいわれても、日本のファストフード業界「をも」引っ張る、世界のマクドナルド。
その創業者レイ・クロックを描いた、誰もが楽しめる伝記映画である。
レイを演じるのは、地味系俳優と揶揄されたこともあったマイケル・キートン。
オスカー受賞作『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』(2014)といい、これまたオスカー受賞作の『スポットライト 世紀のスクープ』(2015)といい、このところの活躍は、ビートルジュースを演じていたころの本人でさえ想像出来なかったろう。
というわけで、この伝記映画は合格。
大傑作というわけではないけれど、ある一定の水準を超えており、楽しめて、なおかつ知的好奇心さえ満足させてくれる会心の一作になっていると思う。
この流れできょうは、伝記映画の成功作10傑を展開してみたい。
その前に、明らかな失敗作をふたつほど。
名匠リチャード・アッテンボローがチャップリンを描いた『チャーリー』(93)、
そして加藤剛が「歩く男」を演じた『伊能忠敬 子午線の夢』(2001)。
前者は「チャップリンと女たち」に絞った点はよかったが、単なるエピソードの羅列に終わっている。
アッテンボローでも「しくじる」ことがあるんだなぁとショックを受けた。
後者は、立派な偉人伝にし過ぎている。
いや、それでいいのかもしれないが・・・
伊能さんって、やっていることはクレイジーでしょう?
その、常軌を逸している感じを出してほしかった。
というか、出してくれないと、立派過ぎて凡人にはついていけないわけですよ。
頭おかしかったから、こういうことが出来たんだ―我々は、そうやって納得する。
少年少女が読む伝記物語の一歩、二歩先をいってくれないと、伝記映画としての価値や深みは出ないのではないか、、、そんな風に思うのであります。
(1)『レイジング・ブル』(80)
そういう意味では、100点満点の映画。
いやこれは偉人伝ではなく、ふつうの「怒れる男」の物語なのだ。
(2)『エド・ウッド』(94)
誰にも評価されなくても、己の信じた映画を創る。
「最低の映画監督」エドワード・ウッド・ジュニアの人生を、ティム・バートンが愛情たっぷりに描いた。
(3)『アラビアのロレンス』(62)
大作! という面構えで忘れそうになるが、ロレンスって、やっぱりちょっとヘンなヤツだ。
(4)『シド・アンド・ナンシー』(86)
パンクに生きたベーシストとその彼女を、パンクに描いたアレックス・コックスの傑作。
(5)『モンスター』(2003)
女性死刑囚、アイリーンをシャーリーズ・セロンが熱演。
あんなにキレイな女優さんが、アイリーンそっくりになっている!!
(6)『エリン・ブロコビッチ』(2000)
万人受けしそうな環境運動家の活躍を、ソダーバーグがソツなく描いて大ヒット。
(7)『エレファント・マン』(80…トップ画像)
「象人間」メリックの波乱に富んだ生涯を、鬼才リンチがホラーテイストたっぷりに描く。
(8)『ガンジー』(82)
アッテンボロー、この作品では堂々たる演出で3時間を一気に観・魅せる。
主演した、キングスレーの存在も大きかった。
(9)『シンドラーのリスト』(93)
そんなキングスレーが脇に回ったのが、こちら。
「感動しなさい」演出が・・・とケチをつけるひとも居たが、それを含めてスピルバーグらしくて悪くない。
(10)『ブロウ』(2001)
麻薬王をジョニー・デップが好演。
すべてを失ったラストに尽きる。
(次点)『サバイビング・ピカソ』(96)
ピカソの狂った日常を、「女たち」の視点で描いた技ありの名作。
アイボリー監督の映画としては「だいぶ」異色だが、いつものこのひとの映画より、じつは好きなんです。
…………………………………………
明日のコラムは・・・
『きょうは、金魚の忌なのです。』
アアダコウダナンヤカンヤいわれても、日本のファストフード業界「をも」引っ張る、世界のマクドナルド。
その創業者レイ・クロックを描いた、誰もが楽しめる伝記映画である。
レイを演じるのは、地味系俳優と揶揄されたこともあったマイケル・キートン。
オスカー受賞作『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』(2014)といい、これまたオスカー受賞作の『スポットライト 世紀のスクープ』(2015)といい、このところの活躍は、ビートルジュースを演じていたころの本人でさえ想像出来なかったろう。
というわけで、この伝記映画は合格。
大傑作というわけではないけれど、ある一定の水準を超えており、楽しめて、なおかつ知的好奇心さえ満足させてくれる会心の一作になっていると思う。
この流れできょうは、伝記映画の成功作10傑を展開してみたい。
その前に、明らかな失敗作をふたつほど。
名匠リチャード・アッテンボローがチャップリンを描いた『チャーリー』(93)、
そして加藤剛が「歩く男」を演じた『伊能忠敬 子午線の夢』(2001)。
前者は「チャップリンと女たち」に絞った点はよかったが、単なるエピソードの羅列に終わっている。
アッテンボローでも「しくじる」ことがあるんだなぁとショックを受けた。
後者は、立派な偉人伝にし過ぎている。
いや、それでいいのかもしれないが・・・
伊能さんって、やっていることはクレイジーでしょう?
その、常軌を逸している感じを出してほしかった。
というか、出してくれないと、立派過ぎて凡人にはついていけないわけですよ。
頭おかしかったから、こういうことが出来たんだ―我々は、そうやって納得する。
少年少女が読む伝記物語の一歩、二歩先をいってくれないと、伝記映画としての価値や深みは出ないのではないか、、、そんな風に思うのであります。
(1)『レイジング・ブル』(80)
そういう意味では、100点満点の映画。
いやこれは偉人伝ではなく、ふつうの「怒れる男」の物語なのだ。
(2)『エド・ウッド』(94)
誰にも評価されなくても、己の信じた映画を創る。
「最低の映画監督」エドワード・ウッド・ジュニアの人生を、ティム・バートンが愛情たっぷりに描いた。
(3)『アラビアのロレンス』(62)
大作! という面構えで忘れそうになるが、ロレンスって、やっぱりちょっとヘンなヤツだ。
(4)『シド・アンド・ナンシー』(86)
パンクに生きたベーシストとその彼女を、パンクに描いたアレックス・コックスの傑作。
(5)『モンスター』(2003)
女性死刑囚、アイリーンをシャーリーズ・セロンが熱演。
あんなにキレイな女優さんが、アイリーンそっくりになっている!!
(6)『エリン・ブロコビッチ』(2000)
万人受けしそうな環境運動家の活躍を、ソダーバーグがソツなく描いて大ヒット。
(7)『エレファント・マン』(80…トップ画像)
「象人間」メリックの波乱に富んだ生涯を、鬼才リンチがホラーテイストたっぷりに描く。
(8)『ガンジー』(82)
アッテンボロー、この作品では堂々たる演出で3時間を一気に観・魅せる。
主演した、キングスレーの存在も大きかった。
(9)『シンドラーのリスト』(93)
そんなキングスレーが脇に回ったのが、こちら。
「感動しなさい」演出が・・・とケチをつけるひとも居たが、それを含めてスピルバーグらしくて悪くない。
(10)『ブロウ』(2001)
麻薬王をジョニー・デップが好演。
すべてを失ったラストに尽きる。
(次点)『サバイビング・ピカソ』(96)
ピカソの狂った日常を、「女たち」の視点で描いた技ありの名作。
アイボリー監督の映画としては「だいぶ」異色だが、いつものこのひとの映画より、じつは好きなんです。
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明日のコラムは・・・
『きょうは、金魚の忌なのです。』